本日6月2日は「本能寺の変」の日。暦の違いはあるが、いずれにしても6月の早朝、織田信長は家臣・明智光秀の裏切りにあい、京都の本能寺で果てた。

あまりにも有名すぎる日ではあるが、その様子をペーパークラフトにしてしまった商品がある。城でもなく寺でもなく「本能寺の変」そのもののペーパークラフト。

あまりにニッチすぎて「誰が買うんだ」と思ってしまう当該アイテム、組み立ててみた!


・「戦国の合戦 本能寺の変」(税込1320円)

その商品は、個性派ペーパークラフトメーカー「ファセット」の「戦国の合戦 本能寺の変」だ。

まずは本能寺の建物を作っていく。流行りのレーザーカットではなく、カッターなどで切り出すシート。とはいえ、直線が多いのでそれほど大変ではない。

最初は「紙がちょっと薄いかな?」と思ったが、ハリがありながらも軟らかい紙質で、折ったり貼ったり加工がしやすい。

寺というだけあって、装飾の少ない低層の木造建築である。建物をぐるりと囲むように縁側(えんがわ)があり、その部分も立体的に再現する。

立派な瓦屋根を有していたことがわかる。ご存じのとおり本能寺は焼け落ちたので、ペーパークラフトは想像図だ。無残にも後々「炎」のパーツを加えることに……

背景台紙に建物を貼りつける。水をたたえた、外堀の部分も再現。舞台は整った……!


・人物を作る

続いて人物を作っていく。信長勢のシートは、名前つきの小姓や、色鮮やかな着物の女性など30人ほどであるのに対し……

明智軍パーツの圧倒的多さよ! あかん信長、これは詰んでる……


こんなにたくさんカットするのか……と絶望しかけたが、シルエットそのままではなく、直線的に切り抜けるように工夫されている。これはよい。ユーザーのことがよく考えられている。

信長は「セリフありバージョン」「弓バージョン」「槍バージョン」があり、時間経過とともに変化するシチュエーションを再現できる。並々ならぬこだわりだ。散々迷ったが、討ち入り直後の弓バージョンにする。

そして隣にはやはり妻・濃姫を配置! 周囲を薙刀(なぎなた)の女房衆で囲む。ただし濃姫が一緒に戦ったのは創作だという説が主流だそう。

名札はないのものの、よく見ると着衣に1人だけ「紋」が入っている人がいる。日本史には詳しくないのでさっぱりわからないのだが、重要人物では? 信長の近くに配置してみる。

また、槍ではなく日本刀をもち、頭に月代(さかやき)を剃った人が数人いる。小姓ではなく成人の武士で、それなりの身分の人のように思う。

このような絶体絶命のピンチのとき、こういった身分の人は積極的に前に出て戦うものなのだろうか? それとも従者の背後に逃れるものだろうか? 武勲を上げられるような状況でもないし……

なんとなく後者のような気がしたので、建物周辺に配置しておいた。間違っていたらスミマセン。こんな風にいろいろ想像してみるのもおもしろい。

信長の周囲は「蘭丸」「力丸」「坊丸」といった名ありの小姓で囲む。黒人の家臣・弥助の名前もみえる。

最後に明智勢だ。ここから気の遠くなるような作業が始まる……


100体を超える人物パーツをカッターで切り抜く作業……


そしてそれを貼りつける作業は、控えめにいって「地獄だった」とだけお伝えしよう。人物だけで4時間かかった。これが戦場というものか……


なお、レイアウト見本は一例であり、「本能寺の変については現在でも詳しい事は全く分かっていませんので自由に楽しんでください」とある。貼り直し可能な接着剤を使うのがオススメとのこと。


・完成像

完成である! 教科書でしか知らない知識も、このように立体にしてみると活き活きと想像できる。

完全なる戦力差で包囲されており、これは信長側からすると応戦も脱出も不可能な無理ゲーだ。敗北を悟った信長は、女性たちを逃がしたのだとか。

外堀にハシゴをかけ、なだれ込んでくる明智勢。信長に一番槍をつけたという「安田作兵衛」の名前もある。みな武装し、刀や槍はもちろん、火矢や鉄砲隊もいる。

一方の信長勢はごく少数。多勢に無勢である。ほとんどの人物は平服と槍で、わずかな身辺警護の人員しかいなかったという状況がよくわかる。

信長は奥の間で自害した……というのが通説だが、遺骸は見つかっていないという。生存説から、僧侶によって遺骸が持ち出された説まで、たくさんの異説があるそう。

日本人は判官びいき(=弱い立場に置かれている側に同情的になる)といわれるが、なんだか哀愁を感じてしまう。信長が生存していたら、どんな日本になっただろうか。

ちなみに作品を鑑賞する方向は決まっていて、裏面は白紙になっている。


・ファセット、おもしろすぎる

ファセットでは、数え切れないほどの日本名城ペーパークラフトのほか、「桶狭間の戦い」や「関ケ原の戦い」といった「戦国の合戦ジオラマ」シリーズも展開している。地形図に何十人もの人物を配置した合戦の様子は、「神の視点」のようでおもしろい。

違法コピー品に対する「10倍返しだ!」のセリフや、「もう誰も追いつけない 地図で見る築城一覧」など、ちょいちょいツッコミたくなる公式ホームページは必見だ。「柵」「樹木」などの無料カスタムパーツもある。

この「一部の人にしかわからないが、伝わる人には圧倒的熱量で伝わるこだわり」が最高。ファンになりそうだ。ペーパークラフトへの挑戦はもちろん、そうでなくともぜひ1度サイトをご覧いただきたい。日本史好きなら楽しめると思う。


参考リンク:ファセット
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.