ゲーム史に燦然と輝く名作格闘ゲーム『ストリートファイター』。eスポーツの大会「ストリートファイターリーグ」がアメリカで開催されるなど、現在では世界的な人気を誇っている。
そして、その人気が爆発したのは『ストリートファイターⅡ(ストⅡ)』からだ。当時、私(中澤)は小学生だったが、ゲーセンで他の人がプレイするのを見ているだけで楽しかったことを覚えている。小学校では、昇龍拳のモノマネをする子供であふれていた。
きっと「しょ~りゅ~けんッ!」っていう特徴的な発音が子供心にヒットだったのだろう。しかし、そんな昇龍拳はアメリカ人にはこう聞こえていたらしい。
・All you can
「All you can!」と。「オ~ユ~キャンッ!」という感じなのだとか。ちなみに、「All you can」は意訳すると「限界まで行け!」的なニュアンスで、昇龍拳の腕を突き上げるポーズにも納得だったのだという。
このことを教えてくれたのは、ロケットニュース24英語版・SoraNews24の記者を務めるアメリカ人・ケーシーだ。現在では日本語も堪能なケーシーだが、当時、ガチャガチャとうるさいゲーセンで聞く昇龍拳の掛け声は「All you can」にしか聞こえなかったとのこと。
その擦り込みのためか、それともやはり特徴的な発音と音質のためか、日本語を知った現在でも「All you can」に聞こえるという。ちなみに、「波動拳」はちゃんと「hadouken」らしい。へー!
・不知火舞
ファミコン、PCエンジン、スーファミ、ネオジオなど、多くのゲーム機を所有し、好きなゲームは「イース」シリーズというゲームオタクな一面を持つケーシー。他にも、空耳がないか聞いてみたところ、アメリカ人に多い聞き間違いとして『餓狼伝説』の不知火舞の名前があがった。
不知火舞は、胸元の開いた忍び装束が特徴的のくノ一(くのいち)。勝利した際には胸を張って「にっぽんいち!」とポーズを取るのだが、多くのアメリカ人はこのセリフが「me bouncy!」に聞こえているのだという。
「me bouncy!」は文法的にはおかしいが、意訳するなら「私揺れるよ!」的な感じで、これもポーズで納得できるのだとか。オ、オウ。
・あの頃ゲームに夢を見た
私が子供の頃、見たこともないゲームとの出会いは夢のようだった。例えば私の記憶だと、「あそこのゲーセンに凄い『ストⅡ』があるぞ!」と噂になってチャリで隣町まで海外海賊版の『ストリートファイターⅡ』を見に行ったことがある。画面を埋め尽くす波動拳にはワクワクしたものだ。
私たちの知らないゲームがある。それだけで世界の広さを感じることができたのだ。現在ほどネットが発展していなかった当時、国外で空耳を生んだ『ストリートファイターⅡ』や『餓狼伝説』は偉大と言う他ないだろう。
事件などがある度に「ゲームの影響」などがささやかれる今日この頃。しかし、ゲームが多くの子供に夢を与えている事実も忘れないで欲しい。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.