サイゼ飲みが好きである。ワインを傾けながら、あの鬼畜間違い探しに興じる時間がとても好きなのだ。その際、高いワインなどは注文しない。もっとも安価なものを選ぶべきである。高級ワインをチビチビ飲むより安ワインをガブガブ飲んでる方が、なんかイタリアっぽくないだろうか?
私(あひるねこ)がこのサイゼ飲みをするようになって、おそらく10年以上が経つ。月に1回以上は必ず行くので、それなりのベテランと言っていいだろう。ところが最近、私は自分の目が節穴であることに気付き、危なく死にかけることになった。
・いざサイゼ飲み
ここから先は、サイゼ飲みにしゃれ込まんとする私目線でお送りしていきたい。さて、慣れた足取りで最寄りの店舗へと到着すると、店員との阿吽の呼吸により案内された席に颯爽と着いた。
サイゼに限らずファミレス飲みが好きなのは、店内が全面禁煙になっていることが多いというのもあったりする。
それではさっそくワインを頼むとしよう。サイゼのグラスワインは1杯100円(税込)とかなり安いことでも有名だ。この倍以上を取るようなチェーン店も実際にある。だが私は、グラスでなんて絶対注文しないぞ。数分で終わってしまうからな。
デカンタや、デカンタで持ってこんかい。
・サイズが重要
ただし、デカンタにも2種類あるから注意が必要だ。250mlだと200円、500mlだと399円と容量で分かれているのである(共に税込)。
と言っても値段的な違いはほぼないし、何度も頼むのも面倒なので500mlをいつも注文している。それが空いたらまたデカンタを追加、というのが10年以上続く私のルーティーンだった。
ところが……。
今年になって、メニューにグラスともデカンタとも違う第3の勢力がいることに気付いたのだ。え? な、何だこの、「マグナム」とかいう野郎は……?
・誰なのか
マグナムというと、「いっけーマグナム!」でお馴染みのコロコロミニ四マッドマン(弟)か、あるいは「俺のマグナムが火を噴くぜ」というド下ネタくらいしか思い浮かばない。マグナム、一体何者なんだ……。
するとここで、さらに信じられない情報が私の目に飛び込んできた。な……に……?
1500mlで、1100円(税込)だと……!?
待て待て、一旦落ち着こう。500mlのデカンタが399円だろ? んで1500mlのマグナムが1100円だから、計算すると……ほ、ほんげェェェェェエエエエエ! マグナムの方がほぼ100円安いィィィィィィイイイイ!!
・緊急事態
たった100円と思うことなかれ。ここはサイゼぞ。100円の誤差が命取りになりかねないのだ。サイゼでの100円は、下界での300円に匹敵すると心得よ。ってことは私は、この10年間サイゼに来るたびに300円近く損し続けていたのか……? やべぇ、死ぬしかねぇ。
「いやいや、1500mlとか飲みきれないでしょ(笑)」「逆に損だって(笑)」という声もあるかもしれない。私も数秒前まではそう思っていたよ。だがしかし、マグナムにはこんな文面が添えられてやがるのだ……。
「飲みきれないワインはお持ち帰りいただけます」
──完全無欠! やはり天は二物を与えたもうのか。出木杉くん並みのスキのなさに、全面降伏する以外の道がどうしても見つからないでござる。というわけで、実際に頼んでみた。
…………。
いやデカッ!
・デカすぎる
ほぼ一升瓶じゃねーか! 業務用かよ!! ワインにこんなサイズがあったなんて知らなかったぞ。だが、味はいつも飲んでいるものと同じような気がする。おそらくデカンタの場合は、このマグナムを注いで提供しているのだろう。なんてこったい /(^o^)\
・圧倒的後悔
これまで自分が犯してきた取り返しのつかないミスを嘆きながら、気が動転した私は『プロシュート』と『ムール貝のガーリック焼き』という、サイゼの中でも とりわけコスパが悪いと思われるメニューをつまみとして注文していた。もしかすると自暴自棄になっていたのかもしれない。
ただまあ食べてみると、ウマいよそりゃ。サイゼって何頼んでも大体それなりにウマいもん。これでワイングラスをカパカパ空けるのが楽しいんだよな。飲んでも飲んでも一向に減る気配のないマグナムの横顔を眺めながら、私は改めてサイゼ飲みの真髄を噛みしめていた。
これもう、店で瓶買うより安いだろ……。
もはや意味が分からない領域にまで達した驚異的なコスパに震えると同時に、このマグナムの存在に10年も気付かなかった己の目の節穴っぷりに深い絶望を覚えざるを得ない。こんな眼(まなこ)、いっそのこと くり抜いてしまった方が世のためではないか。
・決意
その後、気を持ち直して再び現実と向き合った私が胸に刻んだこと。それは「サイゼでワインを飲む時は、マグナム一択!」であった。いっぱい飲めばいいじゃない。余ったら持ち帰ればいいじゃない。その方が絶対お得じゃない?
もし万が一にもマグナムの存在を知らなかったという人がいたら、どうか覚えておいていただきたい。私のようにはなるな。これは忠告だ。
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
▼余談だが、結局全部飲んじゃった……。