“京都の桂離宮すぐそばで、饅頭屋を営むこと130年余り……” なんというパワーフレーズであろうか。京都の老舗和菓子屋「中村軒」の話である。同店では麦代餅(むぎてもち)という、搗(つ)きたて餅に粒あんを入れ、きな粉を振った商品が有名だ。
店舗には茶店スペースもあり、作り立ての和菓子を食べることができる。しかしその茶店で「うなぎ茶漬け」も食べられることを知っている人は、どれだけいるだろう。本当は秘密にしておきたいが、記者の心の内にとどめておくには惜しすぎる。読んでけドロボー!
・漫画『カラスのいとし京都めし』に掲載
中村軒の茶店には学生時代に、何度かお邪魔したことがあった記者。しかし「うなぎ茶漬け(税込1460円)」を提供していたことはつい先日、とある漫画を読むまで知らなかった。その漫画とは『カラスのいとし京都めし』。人間に変化し生活するカラスが、京都の美味しいものを食べるといった内容だ。
まさか和菓子屋に茶漬けが置いてあるとは、思わないもんな。とにもかくにも、漫画を読んで居ても立っても居られなくなり、すぐさま中村軒へと足を運んだ次第。店頭に置いてあるメニューを見ると、確かにお食事欄に「うなぎ茶漬け」と書かれているぞ。いざ……!
・幸せが詰まった茶漬け
前のめりに「うなぎ茶漬けください!!」と注文し、ワクワクしながら待つこと数分。ほうじ茶の香ばしい匂いと共に、茶漬けが運ばれてきた。お椀いっぱいに盛られた白米、その上にちょこんと乗ったうなぎのつくだ煮。脇には色とりどりの漬物が添えられている。
さっそくアツアツのほうじ茶を、白米とうなぎのつくだ煮にかける。さらさらと口に入れると、じんわりとうなぎの旨味が広がる。山椒も程良く効いていて、抽象的な表現で申し訳ないが、非常に京都っぽい味である。
回を重ねるごとに、うなぎから良い出汁が染み出してほうじ茶と交わり合う。間に漬物を挟んで口内をサッパリさせたところで、また一気に茶漬けをかき込む。さらには白米のお替りが1回無料というのだから、危うく幸せ過ぎて昇天するところだった。
座敷の温かな雰囲気の中で食べていると思わず「幸せってこーゆーことですわ」と、そんな気持ちになってしまった。シンプルに美味しい中村軒の「うなぎ茶漬け」を、ほっこり空間で食べられるなんて。いやはや京都は奥が深い。
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 中村軒
住所 京都市西京区桂浅原町61
時間 7:30〜18:00、茶店 9:30〜18:00(LO17:45)
定休日 水曜(祝日は営業)
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
▼桂離宮のすぐそばに店を構える「中村軒」
▼看板商品は「麦代餅」だ
▼和菓子屋なのに「うなぎ茶漬け」が食べられるなんて……!
▼山椒が効いていて美味しい
▼サラサラっと、いくらでも食べちゃいそうだ