
山本山は創業1690年の食品メーカーである。老舗でありながら、時代に合わせた商品開発・販売を行っており、看板商品の海苔を使ったテリーヌを販売したり、日本橋のふじヱ茶房ではアフタヌーンティーセットの提供を行っている。
時代の流れを取り入れて、海苔とお茶の魅力を伝えているのだ。2023年6月に東京・立川にオープンした「フジヱラボ」もそんなお店のひとつ。
ここでも海苔を存分に味わうことができるぞ。海苔だく茶漬けを食ってみろ、海苔の美味さが口の中に押し寄せてくるぞ!
・海苔だけなのに1番高い
お店はJR立川駅構内(改札外)、商業施設エキュート立川の2階にある。近年流行りの飾りの少ない「無機質カフェ」のような雰囲気で、元禄三年創業の老舗を感じさせる要素はほぼない。
メニューはやはりお茶がメイン。コーヒーやアルコールもあるけど、やっぱここでは日本茶を選ぶべきよねえ。山本山の厳選した茶葉を使用したラテは一煎ずつ「手点(てだ)て」で提供しているそうだ。
そのほか、ほうじ茶をコーラで割ったものや、抹茶をソーダで割ったものまである。お茶の飲み方ってこんなにいろいろあったんだね。ひと通り全部飲んでみたくなっちゃう。
スイーツメニューも充実していて、クロッフル(クロワッサン生地をワッフルメーカーで焼いたもの)や、抹茶のクランチチーズケーキ。ほうじ茶ガトーショコラ、抹茶ガトーショコラなど。山本山らしいアレンジが冴えている。
今回、私(佐藤)が注目したのはメニュー表の最下段の「特製ほうじ茶だし茶漬け」である。この価格設定に既視感があるな……。そう、以前紹介した海苔弁と同じだ。おかずが豪華な方が値段が安いのである。「高菜明太茶漬け」が税込950円、「鮭いくら茶漬け」が税込1000円。
「海苔だく茶漬け」が税込1400円! 海苔が高いんですよね、山本山はね!!
・早くしないと!
ってことで、その海苔だく茶漬けと「ほうじ茶アプリコットラテ」(イートイン税込662円)を注文した。
ゆっくり味わって食べよう思っていたんだけど、そうもいかない。というのは、お茶漬けを受け取る時に「お茶は時間が経つと渋くなるので、すぐにかけてください」と言われてしまったからだ。
マジかよ! 私はそういうプレッシャーにめっぽう弱くて、「急げ!」と言われると急がずにいられなくなる。やべえ、ゆっくりラテの写真を撮りたいし、じっくり味をたしかめたいところだけど、そんな場合じゃねえ、急がねば!
ひと口飲んだら美味い! カップの下にアプリコットシロップが沈殿しているので、しっかりかき混ぜたいけど、それは後だ。早くお茶を! 茶漬けを! 早く!!
・海苔強強
ご飯の上には有明海産の板海苔・あおさ海苔・ばら干し海苔の3種の海苔が乗っているそうだ。見てわかるのはそれくらいなので、先に行くぞ。
コレがお茶。……というか出汁だ。かつお節・昆布・椎茸から取った出汁をほうじ茶と合わせているそうだ。
これをかける! 全部かける!!
出汁にさらされて、ほんのりと磯の香りが立ち上がる。海苔の香りだな。私の脳裏にはにわかに潮風の吹く浜辺が浮かんだ。そうか、海苔たちはそこからやってきたのだな。
これはあおさ海苔だろうか。こうして見ると、「海苔ってやっぱり海藻なんだ」と改めて実感する。
食べてみると、海苔が強強(つよつよ)です。海苔の味が出汁を完全に凌駕してしまっている。ご飯の食感さえも払拭する勢い。「海苔だく」だけに、味は海苔の独壇場。圧倒的海苔感だ!
そんな海苔の支配に風穴を開けるのが、ちりめん山椒。ピリリとした辛味がアクセントになって、中盤のたるんだ食欲を呼び起こし、再び食いに走らせてくれる。このちりめん、微量でも白飯一膳を軽くイケる美味しさです。
そして最後の仕上げに梅干し投入。茶漬けにトドメを刺すとしよう。
このところずっと暑い日が続いていたので、梅干しの酸味が浸みるわ~! すっぺえ! でもウメエ!! 梅だけにね……。
・近年のブランド戦略
繰り返すが山本山は老舗中の老舗である。江戸時代から300年も続く日本最古の茶商なのだが、正直なところ歴史が古いからといって、「お茶を飲もう」とはなかなかなれない。増して若い世代にブランドを訴求するのは、難しいはず。
このような形で今風にアレンジしたメニューを提供してくれると、お茶を飲む機会を得ることができる。商品を手に取ることもあるかもしれない。そう考えると、近頃の山本山のブランド戦略は優れているといえるだろう。このお店をきっかけに山本山を知ったという人も少なくないはずだ。
コーヒーを良く飲むという人も、一度山本山の抹茶ラテやほうじ茶ラテも試してみてほしい。海苔茶漬けもね!
・今回訪問した店舗の情報
店名 山本山 フジヱラボ エキュート立川店
住所 東京都立川市柴崎町3丁目1-1 JR東日本立川駅構内 エキュート立川2階(改札外)
時間 7:00~22:00 日祝7:00~21:00
定休日 不定休(施設に準ずる)
佐藤英典














新宿駅の改札内でお茶漬けを食べた後、向かいの店を見て「冷静に考えたらヤバいな」となった
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