常識を疑え──とは言われるものの、なかなか実行することは難しい。例えばタマネギ。名前を聞いて思い浮かぶのは、涙や辛さであろう。季節によっては辛味の弱い新タマネギがあるが、どうしても先入観にとらわれてしまう人は少なくないはずだ。
しかし今、どうやらタマネギ界は新たな時代に足を踏み入れているらしい。というのも、ハウス食品のタマネギは辛くなくて生で食べられる上に、「ONIONADE(オニオネード)」なる新飲料まで開発されていたのである。そしてこの度、実際に体験してみたのだが、その「スマイルボール」と言われるタマネギは本当に辛くなかった!!
・スマイルボールってなんぞ?
本題に入る前に、まずはスマイルボールについて簡単に説明しておこう。北海道夕張郡栗山町で生産しているこのタマネギは、辛み成分の生成に必要な酵素を品種改良で少なくして作っている。水にさらして辛味を抜く必要がなく、栄養成分の流失を気にすることなく調理でき、目にしみることもないんだとか。
2005年から開発に着手し、2013年にはイグノーベル化学賞を受賞。そして2015年からテスト販売されているのだが、開発から販売までの10年で毎年1000個のタマネギを調査したらしい。1日計算で3個……サラッと書いてしまったが、ハンパない情熱だ。
・スマイルボールを使った料理
さて、ここからハウス食品本社での試食体験会をレポートしよう。スマイルボールとオニオネードについて詳細を聞き、いざ実食へ。スマイルボールを使った料理が並べられていて美味しそうだが……
どうしても条件反射で唾液が分泌される。脳に一生懸命「これは甘いタマネギ」と言い聞かせても、パブロフの犬のようになってしまった。だって……だって……
どこからどう見ても……
いつもよく見るタマネギ料理と変わったところはない。だがしかし!
意を決して口に入れると、なかなかどうして甘いじゃないか。正直、「どうせお辛いんでしょ?」なんて疑っていたが、タマネギから甘みが出てきて辛さを感じない。ちなみになぜ甘みを感じるのかというと、通常であれば辛みに隠れて感じない部分が出てくるからとのこと。へぇ〜!!
・新飲料のオニオネード
んで、新飲料のオニオネードも体験することに。原材料はタマネギ、水、はちみつ、レモン汁とシンプルな素材で美味しさを引き立てている。これまた不安はあったが、おそるおそる一口飲んでビックリ。匂いこそタマネギだが、まるでりんごジュースのようなのだ。
せっかくなので持ち帰ったオニオネードを編集部メンバーにも飲んでもらったところ、「匂いは完全にタマネギで、味はリンゴ」という声もあれば「味も匂いもリンゴっぽい」「カレーに入れたら美味しそう」と多少バラけたものの、リンゴつよしで辛いという声もなし。甘みと柑橘系の後味があるため、新感覚の飲みものと言っていいだろう。
・支援を募集中
なお、2019年11月5日より、オニオネードの実現を目的としたクラウドファンディングおよび先行予約販売が始まった。株式会社マクアケが運営する「Makuake」にて、プロジェクトを支援することができる。
辛くなくて、甘いタマネギが当たり前の世界になったら……そんな思いが込められている同商品。本当にタマネギの常識が変わってしまうかもしれないし、興味深いチャレンジなので気になる人は要チェック!
参考リンク:Makuake『新体験飲料「ONIONADE」~辛くない、甘いタマネギ「スマイルボール」から誕生』、ハウス食品「スマイルボール」
Report:原田たかし
Photo:RocketNews24.
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▼通常のタマネギを切った後の包丁やまな板でスマイルボールを切ると、辛み成分が生成されるらしいから注意しよう