2019年10月上旬、台風15号による被害を報じるために伊豆大島まで行ってきた筆者。そこからすぐに今度は19号が来てそれどころではなくなってしまったのだが……実はあの時にもう一つお伝えしたかったことがあるのだ。
それは、今なら大島をはじめとする伊豆諸島までの、往復の船代をめちゃくちゃ安くできる……ということ。もちろんちょっとした条件があるが、ぶっちゃけ余裕でクリアできる。伊豆諸島に行くなら今しかねぇ……ッ!
・通常は片道4390円
安さを実感するためには、普段の船代を知る必要がある。ということで簡単に紹介しよう。船を運航している東海汽船のHPに記載(2019年10月29日時点)されている、2019年11月のジェット船および、大型客船の一番安い2等の、片道の船代は以下の通り。
ジェット船
東京~大島:7110円
東京~神津島:9640円
大型客船
東京~大島:4390円
東京~神津島:6260円
参考までに、一番近い大島と、ジェット船の運行圏内で最も遠い神津島までの船代のみを掲載した。この二つの島の間には利島、新島、式根島があるが、距離に応じて高くなる。とはいえ、神津島よりも本土に近いので、大島以上、神津島未満の値段となる。
そして、すでに上でも書いたが……全て片道の料金である。重要なことなのでもう一度。片道の料金である。
・往復で4000円から
では驚きの激安プランの値段はというと、以下の通り。
ジェット船(2020年1月24日まで)
東京〜大島:6000円
大型客船(2020年1月24日まで)
東京~大島:4000円
東京~神津島までの全島:7000円
しかも全て往復料金である。もう一度言う。往復料金だ。しかも、大型客船の場合、大島までは往復4000円だが、大島よりも遠い利島、新島、式根島、神津島までは、往復で一律7000円! ちなみに子供は半額。
な、安いだろ?
注意すべき点としては、大型客船の場合、東京の竹芝から出航するのは夜。船の中で1泊して、翌朝に島に到着するスケジュールになるということ。そして2等リクライニングシート席限定ということ。ジェット船なら1時間ちょっとで着くが、激安プランだと大島までしか選択できない。
また、大島までのジェット船6000円コースの場合、東京を出発するのが午後1時台のみ(何分かは日によって数パターンある)。到着するのは15時台ということなので、実質的に島で宿泊するのは必至。このプランで日帰りは無理だろう。
個人的には、コスパが最強で、夜行船での宿泊というちょっと面白い体験ができるということで、大型客船での神津島行きをお勧めしたいところ。筆者も通常料金の時に、一番安い2等椅子席を何度か利用したことがあるが、かなり記憶に残る体験ができる。
例えば、船のデッキで適当に雑魚寝したりとかである。もちろんシートをとってあるので椅子で寝ることもできる。しかし、どういうわけか多くの人がシートを離れ、船内の通路やらデッキやらでレンタルした毛布に包まってごろごろしていたりするのだ。まあシートよりもその方が気持ちがいいというのもあるのだが。
そのようなワイルドすぎるスタイルに抵抗のあるという方は、シートで寝るといいだろう。飛行機のエコノミーシートで海外に行く時と大差ない。そこそこ余裕のあるシートなので、飛行機よりは楽だと思う。
そしてこれらのチケットだが、予約は電話からのみ。一応公式HPに案内のPDFが掲載されているものの、かなり目立たないし、HPのネット予約のページにも一切記載が無い。予約については記事の一番最後にリンクなどを簡単に記しておくので参考にしていただきたい。
・行って何をするのか
安いことは分かっただろう……そこで、多くの方が思うのは「島に行って何をするのか」ではないだろうか? 夏ならば綺麗な海で海水浴とかもある。伊豆諸島は……特に神津島まで行けば気温差は顕著。11月でも本土より明らかに暖かい。しかし海に入るにはいささか厳しいところ。
そこでお勧めなのが、昼間は山登りと釣り、そして夜は温泉と魚料理である。どの島に行くかにもよるのだが、ほぼ全ての島でそれなりに温泉が豊富。全部火山なので、掘ればだいたい温泉が出るもよう。至る所に温泉がある。
秋から冬にかけて、首都近郊にお住まいの方が近場で温泉に行くとなれば、大体が栃木の鬼怒川温泉やら、群馬の草津やらだろう。それもいいが、それがアリなら伊豆諸島もアリだと思うのだ。
特に式根島の無料で入れる地鉈温泉は、温泉マニアなら1度は試しておくべき穴場。水着着用の混浴、シャワー無しで、満潮後の一定の時間にしか入れない上に、温泉までの道もいささか険しい……というシロモノ。
それにもかかわらず、Googleレビューでは56件のレビューで星が4.4という高評価(2019年10月29日時点)。筆者も1度入ったことがあるが、マジでワイルドな方向けのヤバいところだ。冒険好きならたまらない場所である。
また、かなり対象が限られる気もするが、サイクリストの方であれば秋の大島や神津島はまさにシーズンだろう。金曜の夜に仕事帰りに直行し、土曜日は自転車をこぎまくって温泉に入り、日曜日に帰ってくるなど楽しいのでは。
そしてダイビングのライセンスをお持ちの方なら、秋から冬の伊豆の海の素晴らしさはご存知だろう。水中の透明度が高くなるため、ダイビングにとって好条件。式根島や神津島まで行けば、カンパチやヒラマサといった大型の回遊魚や、ウミガメなんかとの遭遇率も高い。潜った後に温泉をキメられるのもナイスだ。
あとはまぁ、伊豆諸島に興味はあったものの、思いのほか船代が高くて断念していた的な方も、好奇心を満たすチャンスだろう。特に何をするわけでもなく、ぶらぶらとうろついて、適当に温泉に入って帰ってくるだけでもそれなりに楽しいものである。
・予約方法
お勧めの理由はこのくらいにしておいて、予約方法である。公式HPのPDFをご覧頂くのが一番手っ取り早いのだが……その上で、予約をさらにスムーズに進めるには、まず最初にプラン名を伝えることが重要である。
ジェット船で大島まで往復6000円のプランであれば、「大島まで往復6000円のヤツ」で伝わった。しかし、大型客船で大島まで往復4000円、その他の島は一律7000円のプランについては「島島(しましま)きっぷ」と伝えるのが早い。「4000円か7000円のヤツ」ではスムーズにいかなかった。
また、ジェット船の復路は3日以内。大型客船は4日以内となっている点も気をつけていただきたい。そして、一部日程は例外となっていることも注意が必要だ。その他詳細は各自電話で聞いてみてほしい。
参考リンク:東海汽船(PDF)、東海汽船、Googleレビュー
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.