今年いちばんの衝撃かも知れない。こんなことがあるから人生は面白い。そして、もしもタイムマシンがあるのならば、数時間前の自分をブン殴っておきたいとさえ思っている。
人生の分岐点。それが、つい先ほど食べたバーミヤンの餃子である。
それはまさしくビッグバン。もしも人生を大別するならば、「バーミヤン餃子前」と「バーミヤン餃子後」に分かれるくらいの衝撃だった。
もったいぶらずに、先に結論から述べておきたい。
激ウマである。
もしもバーミヤンの餃子を食べたことがない人がいるのであれば、すべての予定をキャンセルし、今すぐにでもバーミヤンに向かった方が良い……と真顔で言うほどの美味さである。
ある意味、私は改心した。悟ったとでも言おうか。
毎日の日課である餃子めぐり。数えてみると、今日でちょうど20日目。いつ飽きるか、いつ飽きるか……と思いながら毎回違う店の餃子を食べているのだが、いまだ飽きないのだから餃子という食べ物は恐ろしい。いや、今日という日があるからこそ、飽きずに続けていられるのだ。
話を戻そう。
私と、同僚の原田たかしは、シトシトと雨が降る中、餃子難民になっていた。目星をつけていた店に行ってみるも、ラストオーダー後でNGサイン。ならばとばかりに向かった次の店は準備中で、頭の中にある別の店も、営業開始まで1時間以上もある “魔の刻” だった。
そんなとき──。
目の前に見慣れた桃がプリッと出現。言わずと知れたバーミヤンだ。
バーミヤンといえば中華である。
餃子くらいあるだろと。
当然あるだろと。
並ばないでも入れるだろと。
だってバーミヤンだしと。
バーミヤンでいっか、と。
つまり、仕方ないからバミったのである。
席につくなりメニューを見ると、やったら安い。思わず「(笑)」となるほど安かった。イマ風のネットスラング風に表現するなら「www」であり、実際、我々は「やっすwww」などとヘラヘラ笑いながら、6個入りの「本格焼き餃子(税抜239円)」が2枚(12個)付いてくる「W焼餃子(税抜449円)」を注文した。
てゆうか安すぎwww
お持ち帰り(12個で299円)にしたらさらに安いwww
てゆーか水もおしぼりもセルフサービスwww
ナメていた。もう、悪い意味での草(www)が絶えなかった。完全にバカにしてた。上から目線の嫌な奴らだったと今では思う。
そうこうしているうちにwの餃子が登場したのだが……
これまた「www」な見た目だった。
「はいはい」みたいな。
いわゆる「あーゆー味ね……」みたいな。
すべてが想像つく見た目だった。
ところが、口に入れた次の瞬間……
ど、ど、どういうこと……⁉︎
私と原田はお互いに目を見合わせ、しばしの間、動けなかった。予想に反して美味かった……どころの話ではない。一撃で脚に来るパンチを食らったボクサーとでも言おうか、バットに当たった瞬間にホームランとわかる大谷の一撃を食らったピッチャーとでも言おうか。
うま “すぎる” のである。
毎日飽きずに餃子を食べ続けて20日目に突入中、絶対音感ならぬ「絶対餃子感」があるならば、ビンビンに研ぎ澄まされているコンディション、いわば「餃子ゾーン」に突入中の我々が、真顔で硬直するほどの味だったのである。
具体的に何がどう美味いのかを早口でまとめるならば、
モッタリしない軽やかな薄皮! そして口に入れた瞬間にドバっと広がる肉汁! いいや、肉汁なんて生易しいものじゃない……これはもう、肉スープだ! そして多すぎず、少なすぎず、絶妙な量の肉餡!! 皮と肉の間に感じる絶妙な「遊び」っ!! 具材の味も実に良しっ……!! 何個食べても飽きない……。なんだこれ……なんなんだこれ〜っ!!
──てな具合。
実際、原田は、3つくらい食べ終えた時、真剣な顔で「ぼく、これなら、毎日3食でも大丈夫です」と言っていた。実は私も同感である。おそろしいことに、見た目に反して、いつまでもいつまでも食べていたい……と思うほどの軽やかさなのだ。
「いったいこれはどういうことか?」と、あらためてメニューを確認してみると……
無添加! 合成着色料不使用! 合成保存料不使用! 人工甘味料不使用! 安定剤不使用!……と、健康面でも完璧すぎる存在だったことまで判明的! 無敵的! アイヤーッ!!
よく「人は見た目で判断してはいけない」と言うが、餃子も同じであることを今日学んだ。そして何より、店で判断してもいけないのである。
チェーン店だから。
バーミヤンだから。
何を偉そうに。印象だけで。そんな色眼鏡で世界を見ていた自分が恥ずかしくてしょうがない。バーミヤンに謝りたい。心から謝りたい。今までバカにしてゴメンナサイと。
あわせて自分を殴りたい。「バーミヤン(笑)」なんて思っていた数時間前の私を殴りたい。バーミヤン(笑)ではなく、正しくはバーミヤン(神)である。こんなに美味い餃子を239円で提供するなんて正気の沙汰とは思えないが、神だと考えると合点もいく。
もしもバーミヤンをバカにする人がいたとしたら、私は率先して身を投げ出す覚悟ができている。全身全霊でバーミヤンを擁護(ようご)することだろう。そこまで思わせる魅力とパワーが、バーミヤンの餃子には宿っている。
──帰り道、興奮した様子で原田が言った。「こんなことがあるから餃子めぐりはやめられない」と。まさに、である。こんなことがあるから人生は面白い。そして2人で誓いあった。「また絶対リピしよう」と。
参考リンク:バーミヤン「W焼餃子」
Report:GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24
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