全国各地にあるご当地ラーメンの中でも、一定の地位を確立した感のある和歌山ラーメン。まろやかでコクのある豚骨醤油スープの味わいは、ファンだという人も多いのではないだろうか。

最近では他府県でも和歌山ラーメンを提供する店が目に付くようになったが、今回は本場・和歌山でも抜群の知名度を誇るレジェンド店「井出商店」へと足を運んできた。その模様を詳しくお伝えしよう。

・匂いが反則

和歌山市観光協会のHPによると、一概に和歌山ラーメンといっても、醤油系・豚骨醤油系・それ以外という3つの系統に分類されるとのこと。今回訪れた井出商店は、豚骨醤油系の有名店である。

和歌山駅からそう遠くない場所にある井出商店へと筆者が到着したのは、夜9時すぎ。

店の駐車場にバイクを停めたのだが、なんつーか、もう駐車場がウマイ。ちょうど排出された店内の空気が流れてくる方向に駐車場があるのだ。豚骨を炊き込む匂いがプンプンと立ち込めており、この匂いだけで白飯を食えそうな勢いだ。

とりあえず、今まで訪れたラーメン屋のなかでも「駐車場がウマイランキング」では1位だな。そんなくだらないことを考えながら、店の暖簾をくぐった。

・ラーメン屋に寿司?

さっそく中華そばを注文。そして机に目を落とすと、「早すし」なる見慣れないものが置かれている。早すし……寿司なのだろうか? 

封を開けてみると中身はサバの押し寿司。実はこれ、井出商店に限らず和歌山のラーメン屋ではよく置かれているものらしい。チャーハンや餃子といった定番のサイドメニューではなく、この「早すし」を食べながらラーメンを待つのが和歌山スタイルなのだ。

食べてみると、いつも食べているサバ寿司よりも少し酸味が強いように感じた。サイズは小ぶりで、スナック感覚でペロリと食べてしまえる。価格は150円。油断すると続けて手を伸ばして、財布の中の小銭を根こそぎ持っていかれてしまいそうな味だ。

酸味は食欲を刺激するともいうし、寿司を食べながらラーメンを待つというカルチャーは、もしかしたら計算され尽くしたものなのかも?

・奇をてらわない優しい味

早すしを連打したい衝動を何とか抑えているところに、中華そば(750円)が到着した。表面に薄く膜の張った、少しとろみのあるスープ。そして蒲鉾のトッピング。「ザ・和歌山ラーメン」といったルックスである。

豚骨の甘みと醤油の塩気が絶妙に合わさった、間違いのない味。どこか懐かしさを感じるスープが体に染み入る。

数多くのラーメン屋を食べ歩いている筆者にとって、決して目を剥いて驚くような味でないことは確かだ。だが、そこに真髄を見たような気がした。

豚骨醤油系の和歌山ラーメンは、アッサリ or コッテリで分類するならコッテリの部類に入るはずだ。しかしコッテリながら重さやクドさを感じず、むしろホッとするような優しい味わいを醸し出す点に、和歌山ラーメンの良さがあるのではないかと筆者は思っている。

だとすれば、「びっくり仰天の美味しさ」よりも「毎日でも食べたい美味しさ」こそが和歌山ラーメンの真髄であるはず。一口食べて驚くラーメンではなく、完食した後に頷きたくなる中華そば。そんな一杯を提供する井出商店は、やはり名店だった。

・今回紹介したお店の情報

店名 井出商店
住所 和歌山県和歌山市田中町4-84
時間 11:30~23:30
休日 木曜日

参照元:和歌山市観光協会「和歌山中華そば・ラーメン
Report:グレート室町
Photo:RocketNews24.