本日10月13日は『引っ越しの日』だそうだ。これは引越専門協同組合連合会関東ブロック会が制定したもので、明治元年のこの日、明治天皇が京都御所から江戸城(現在の皇居)に入城されたことに由来しているという。

おそらく多くの人が1度くらいは引っ越しを経験したことがあると思うが、果たして当たり前だと思っている日本の引っ越し事情は、本当に当たり前なのだろうか? アメリカ人に聞いてみたところ、実に興味深い話を教えてくれたのでご紹介しよう。

・在日アメリカ人に聞いてみた

話を聞かせてくれたのは、ロケットニュース24の英語版サイト「SORA NEWS 24」のケーシーさんだ。アメリカ生まれアメリカ育ち、現在は日本で生活するケーシーさんの目に、日本の引っ越し事情はどう映っているのだろうか?


──ケーシーさん、ケーシーさん。ちょっと聞きたいことがあるんですけど。

「お、PKさんじゃないか。なんだい?」

──10月13日は『引っ越しの日』らしいんですけど、日本とアメリカの引っ越しってだいぶ違いますか?

「そうだな……。うーん、実は俺はアメリカでは1回しか引っ越したことないんだ。しかも6歳のとき。だから細かい手続きとかに関してはあんまりわからないかな」

──そうなんですね。

「でも日本では3回引っ越してるよ。その中で感じることはあったね」

──おお、例えば?

「まずさ “エアコン無し物件” があることに驚いたよね。アメリカでは壁の中にエアコンが埋め込まれているのが一般的で、外付けする発想があまりないんだよ。しかも入居者が自分で購入して取り付けるってのにはビックリしたな」

──なるほど。広大なアメリカならではのエピソードですね。

「あとはやっぱりお金だよね」

──というと?

「アメリカで部屋探しをする場合、普通は大家さんと直接やり取りをするか、その建物を管理している会社と話し合いをするんだ。日本でいうところの “不動産仲介会社” がアメリカでは一般的ではないんだよね」

──ふむふむ。

「でさ、仲介会社を利用すると “仲介手数料” が発生するじゃない? あれには驚いたよ。アメリカならまずかからないお金だからね」

──そうなんですね。

「ただ、来日してすぐのときは日本語も達者じゃなかったから、仲介会社が書類を作成してくれたり、大家さんと交渉してくれたのは良かったのかもしれないな。結果的に助かった部分があったことも事実だ」

・敷金と礼金ってあるの?

──なるほど。ちなみに、アメリカには敷金・礼金的なものは存在するんですか?

「敷金はあるよ。でも礼金は全くないな。そもそも礼金は英語自体がなくて、ほとんどのアメリカ人が混乱するところだね。俺が説明すると “So it’s like a bribe?”(要するワイロってわけだね?)って言われるよ」

──へえ、やっぱり礼金は日本だけの習慣なのかな?

「ただ、アメリカでは賃貸契約終了前で部屋を出ると罰金が発生する地域もある。日本みたいに1カ月前に解約すればOKじゃないんだ。俺は結婚を決めてすぐに部屋を出たんだけど、俺の親(アメリカ人)が驚いてたよ。だから、どっこいどっこいじゃないか?」

・日本で感心した習慣

──なるほどですね。じゃあ引っ越してからは何かありますか?

「そうだな、アメリカでももちろん引っ越しをしたらご近所さんに挨拶はするよ。でもおみやげまでは渡さないな」

──最近ではだいぶ少なくなってる気がしますが、確かにおみやげを渡す風習はありますね。

「結婚して妻と新しい部屋に入った時、妻がおみやげを用意してたんだけど “そこまで気を使う必要あるのかな?” とちょっと思ったね。それまで俺自身が引っ越して来た人からおみやげをもらったことがなかったからさ」

──なるほど。

「でもこの習慣は悪くないと思ってるんだ。なぜなら、おみやげを渡したおかげで隣同士が顔見知りになって、最初から “よろしく” “ありがとう” みたいな気分になれたからね」

──確かにそうかもしれませんね。

「数年前、うちの隣に引っ越してきた人におみやげを貰ったんだけど、かなり美味しいあんこマシュマロだった。うん、そう考えるとやっぱりこの習慣は悪くないと思うな


ご覧のように、やはり日本とアメリカの引っ越しにはそれなりに違いがあるらしかった。ただ、どちらかが全て秀でているワケではなく、それぞれに良いところと悪いところがあるようだ。中でもケーシーさんは「手みやげ付きのあいさつ回り」に感心していた。

というわけで、日米の差が垣間見えた引っ越し事情。もしあなたに外国の友人がいたら、引っ越しの話を聞くだけでも意外と面白いかもしれないぞ。

参照元:今日は何の日?
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.