JR九州・日田彦山線の「宝珠山(ほうしゅやま)駅」といえば、駅ホームが福岡県と大分県の県境をまたいでいることで有名……なのだが、2017年7月の九州北部豪雨で被災して以降、不通区間となったまま。残念ながら電車で行けない駅となっている。
そんな中ではあるが、スッポンとハチミツのドッキングに成功した「夜明けの里」に立ち寄った帰りに、15分ほど車を走らせれば宝珠山駅に行けることが判明。JRに問い合わせてみたところ「見学するのはOK」とのことだったので行ってみることにした。
・宝珠山駅
ナビの案内にまかせて山道をクネクネ進んで行くと、ちょうど15分で宝珠山駅に到着。駅舎があるのは、福岡県朝倉郡の東峰村だ。掃除が行き届いたキレイな駅舎は、1998年に建て替えられたもの。もともと無人駅なうえに利用者もいないため、放課後の学校のような雰囲気だった。
なお、運転を見合わせている区間はバスによる代行輸送が行われ、宝珠山駅も150mほど離れた国道211号線沿いにバス乗り場がある。被災から2年が経った今も復旧の見通しは立っていない……なかなかデリケートな問題だが、復旧を望む声は多いだろう。
それでは駅ホームへ。駅名標のスグ下には「九州で唯一! 県境の上にホームが伸びる 県境の駅」と書かれた看板。ほほう、右を向けば福岡県東峰村で、左を向けば大分県日田市か。駅自体が立派な観光地だな。この看板だけで白米が食える鉄道ファンも少なくないはず。
・県境
宝珠山駅はホームの3分の1が大分県で、残りが福岡県。県境には立派な標柱が立っている。こちら2007年に設置されたそうだ。個人的には、この標柱で白米2杯は余裕。電車では来られなかったが……ついに来たぞ。
そして境界線には、福岡県東峰村の特産である「小石原焼(こいしわらやき)」の陶板が埋め込まれている。なんというか、もう……ノスタルジックが止まらねぇです。
ただ、線路を見ると錆びついたレールに生い茂る雑草。まるで廃線跡のようだ。電車を再び走らせるには、かなりの時間がかかるだろう。このままバス転換……という可能性もあるのかもしれない。
とはいえ、駅舎内もホーム上もキレイに整備されていた宝珠山駅には、電車の来なくなった今でも多くの見物客が訪れている。鉄道の復旧は、被災地の “復興の象徴” ともなり得るが、はたして……。今後、日田彦山線の不通区間はどうなるのだろうか。
・今回ご紹介した場所の詳細データ
名称 宝珠山駅
住所 福岡県朝倉郡東峰村大字福井
Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
▼駅ホームに県境がある宝珠山駅
▼駅から車で15分ほどの距離にある「夜明の里」はこちら