Twitterには、表の顔と裏の顔がある。そのひとつが「裏垢」という使い方に代表される、匿名でのメッセージのやり取りだ。出会いを求めて裏アカウントを活用する場合もあるし、自撮りの動画や写真、そのほか私物を売買する場合もある。
このシリーズでは裏アカウントで売買するケースについて追っている。今回は20代のCさんだ。彼女はこれまで約10人の売り子にインタビューをしてきたなかで、もっとも高い売上をあげた過去を持つ人物だった。
・2つのタイプ
売り子は大別して2つのタイプに分けられる。ひとつは下着や靴、そのほか体液などを販売する「物販専門」と、動画や写真などを売る「コンテンツ専門」だ。調べた範囲では、物販は手間がかかる割に稼げないという印象がある。その代わり、常連がつくと繰り返し購入している傾向に感じられる。
一方のコンテンツ専門は、1本の動画でも繰り返し販売できるうえに、買い手とのやり取りが簡単であるために、売上は安定しやすい傾向にあると感じられる。ただし、動画の流出、勝手に転用されるリスクが非常に大きい。さらに顔出しの動画を販売している場合は、身元がバレることさえあり得る。
いずれにしても、一般的なフリマとは違って、高いリスクを負っていることに変わりはないだろう。
・過去最高売上
そんななかで出会ったCさんは、これまで話を聞いてきた人たちとは、少々話の次元というものが違っていた。
──最初に販売実績について教えてもらって良いですか?
Cさん「全然正確にわからないんですけど、それでもいいですか?」
──結構です
Cさん「100件超えたところで数えるのをやめたので、確実に100は超えてます」
──動画の販売をされていると思うんですけど、1本あたり3000円としたら、総額30万くらいですか?
Cさん「売上の総額ですか? う~ん、ちょっとわからないですね。実績と一緒で売上も数えるのをやめたので」
──では、月の最高売上と、平均的な売上を教えてください
Cさん「売り子1本でやってる時は、最高で60万くらいですかね。片手間でやると月20万くらいかな? 平均で行ったら、始めて今、半年くらいなんで35万くらいになると思います」
──そんなに!? 今までお話を伺ったなかでダントツなんですけど、何か工夫とかコツみたいなものがあるんでしょうか?
Cさん「ひとつあるのは、動画なので再販売しやすいことと、在庫? が多いことでしょうか。50本くらいあるかな。あとは、譲歩しすぎない範囲でサービスすることですかねえ」
──なるほど。譲歩というと値引きですか?
Cさん「そうです。見境なく値引きを要求する人もいるので」
──売り子をしていて騙されたことはありますか?
Cさん「めちゃくちゃあります。その点は鍛えられたので、絶対に(動画の)先送りはしません。鉄則ですね」
──月に数十万も稼いでしまうと、逆にやめられないんじゃないでしょうか?
Cさん「そうなんですよね。やめ時が難しいです。何も稼ぎだけのことじゃなくて、自分には売り子が合ってる気がしてるんです。でも、いつまでもやっていられないのは分かっています。いつかはやめる日が来ると思うんですけど、それがいつかは分からないですね」
──いろいろお教え頂き、ありがとうございました
この闇を見るにつけ、少額のお金欲しさに何かを売っている売り子は非常に多い。その大半がうまく行っていないなかで、より深い闇に入り込み、抜け出せなくなるケースも存在するようである。いつか闇が晴れる日は来るのだろうか?
Report:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24