超特盛の500グラムまで増量無料のつけ麺屋がある」という情報をネットで目にした時、筆者の胸に歓喜と不安が同時に訪れた。世に言うジレンマである。「お安くたくさん食べられるのは心底嬉しいが、そこまで多いと途中でスープの味に飽きてしまわないだろうか」と。

しかし、そんな底の浅い悩みはそのお店にはお見通しだったらしい。なんと今回ご紹介するつけ麺屋「百の輔(もものすけ)」では、お値段据え置きで4種類のスープのうち2つまで選べてしまうのだ。途方もない善意である。麺もスープも増やせる “つけ麺天国” に、さっそく突撃してみた。

・サービス精神が止まらない

詳しくご説明すると、「つけ麺専門 百の輔」は、5月13日に新宿御苑から秋葉原に移転オープンしたばかりのお店である。秋葉原駅の電気街口を出て徒歩5分ほどで、その看板が見えてきたが……

看板の下には人気を表すように列ができていた。筆者が訪れたのは午後2時半頃の昼下がり。それでもこの盛況ぶりだ。「移転オープンしたばかりだから」という理由だけではないだろう。

なにせ前述の通り、「並盛200グラム」から「大盛300グラム」、「特盛400グラム」などの段階を挟み、「超特500グラム」まで無料で麺を増やせるうえに……

「魚介豚骨」、「エビとイカスミ」、「カレー」、「和風トマト」の4種類のスープから2種類を選べる「ハーフ&ハーフ」システムが存在するのだ。人気が出なければ世も末である。

しばらく並んで待ったあと、店内に通されて食券を買う。

食券機の下の方に「ハーフ&ハーフ つけ麺(850円)」のボタンを発見したので購入。普通のつけ麺と同じ値段だ。ありがたすぎる。食券から温かみを感じて、これが良心の温度かと思う。

優しさに触れたせいか詩的なテンションになっていたところ、店員さんに麺量を聞かれたので、迷わず「超特」を頼んだ。ちなみにそれでも足りない方は、プラス80円ごとに100グラム追加できるようだ。

スープの方は魚介豚骨と和風トマトを選択。麺を熱盛にもできるとのことなので、せっかくなのでそうしてもらう。あとは丼を待つだけだ。

カウンター席で胸をときめかせていると、まもなくスープを2つ連れてつけ麺が登場した。

ドドンと擬音がしてきそうなほど圧巻の麺量だ。丼にギチギチに麺が詰まっているのが見た目でわかる。

麺量のみならず、2種類のスープも特徴的であるがゆえに、目線が定まらず困る。

魚介豚骨のいかにも濃厚そうな色も、和風トマトの魅惑の鮮やかさも、競うように食欲をそそってきてたまらない。これで850円ってマジなのかと驚きつつ、いざ実食。

・楽しみが増えて、飽きが来ない

まずは定番の魚介豚骨スープの方に麺をくぐらせていく。

一口すすると、スープの中に丁寧に織り込まれた魚介の旨味に舌をもてなされた。王道の香りと安心の深みだ。少しとろみがあるような感じで、モチモチの太麺によく絡む。濃厚でありながらクセがなくオーソドックスなので、このスープだけでも麺を平らげてしまえそうにさえ感じる。

とはいえ、スープが2種類あれば、そのぶん楽しみも2倍だ。期待をこめて、今度は和風トマトスープの方に麺をつける。

トマトベースに魚介を合わせ、さらにピリ辛に仕上げられており、新鮮で奥深い味わいが口全体を刺激する。和風のテイストが混ざっていながら、洋風さも失われていない。繊細なバランスの上に成り立ったスープだ。

お店のホームページに「女性に大人気」のスープと書いてあったが、それも頷ける。熱盛にしたおかげでスープパスタ感がいや増していて、酸味と辛味のアクセントも手伝ってスルスルと食べれてしまう。

夢中になってひとしきり箸を動かし、だいぶ食べ進めたなと思って丼に目をやっても、まだまだ麺は底の方までぎっしり。

しかし「うんざり」なんて感情は全く生まれない。2つのスープを交互に食べることで、思っていた通り、いや、それ以上に飽きが来ない。たっぷりと麺があることが純粋に嬉しい。麺の量はすなわち幸福の量である。

「ハーフ&ハーフ」と銘打たれているものの、スープの量は決して少なくなく標準的だ……が、麺量のせいもあって、食べ進めるうちに少なくなり、ぬるくもなってくる。そんな時も、どちらか片方のスープのおかわりができるので安心だ。

そして食べ終わったあとは、もちろんスープ割りを楽しむことができる。最初から最後まで至れり尽くせり。痛み入るほかない。魚介スープをダシで割っても美味しかったが、トマトスープを割った時のさっぱり感が特に印象的だった。

・絶対に来てほしい、絶対にまた来たい

というわけで、麺量も心づかいもてんこ盛りの「百の輔」をご紹介してきたが、このお店が間違いなく “つけ麺天国” であることは皆さんにもおわかりいただけただろう。好みに応じて幅広いバリエーションのつけ麺を存分に堪能できるため、万人に訪れてほしい場所だ。

味わえなかった残り2つのスープが気になるので、筆者もぜひリピートしに行きたい所存である。今度は不安など欠片もなく、100%の歓喜をもって足を運べることだろう。

・今回紹介した店舗の情報

店名 つけ麺専門 百の輔
住所 東京都千代田区外神田1-6-3
営業時間 11:00~18:00
定休日 不定休

参考リンク:つけ麺専門 百の輔
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.

▼500グラムの麺と2つのスープ

▼魚介豚骨は濃厚で王道

▼和風トマトはピリ辛で新鮮

▼スープ割も美味しく、最後まで天国気分

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