カリフォルニアロールを見て日本人がビックリしたように、中国人は日本の『中華料理』に違和感を感じるらしい。街の中華屋さんでは中国人が料理を作っていることも多いけど、やっぱり日本人に合わせた味付けをしてくれているのだ。『上海焼きそば』も『天津飯』も中国には存在しないと知ったとき、少しショックだった……。
そもそも『中華料理』自体が日本で独自に進化したもので、本場中国で食べられている『中国料理』とは区別されているのだそうだ。それならば果たして日本の中華料理は、別モノとして中国人の口に合うのだろうか? 中国人にきいてみた。
・横浜は東アジア最大の中華街
横浜中華街に同行してくれたのは、日中交流会で仲良くなった中国人と台湾人の留学生くん2人。中国語を勉強している人は交流会へ行くと上達が早くなるよ! ニーハオ!
元町・中華街駅の構内には中華料理店の広告がギッシリ……。さすが東アジア最大といわれる中華街である。
……ん? よく見ると広告の多くにはデカデカと「食べ放題」の文字が……。
しかもほぼ全てが2000円以下で「時間無制限」とある。これがヨコハマスタイル? 本当ならお得すぎやしないか? 普通に中華料理を食べるつもりで来たが、ここまで「食べ放題」の文字を見るとがぜん食欲がわいてきた。よ〜し、ここは張り切って予定変更だッ!
結論:中華料理はなかなか2000円分も食べられるものではない
『1680円 食べ放題』と看板に書かれた店に入ったら「休日なので1980円」と言われた。それでもずいぶん安いと思ったが、中華料理は油が多めなせいもあってかあっという間に3人とも満腹に……。
冷静に考えてみれば、中華屋の1000円以下の定食だって十分満腹になるではないか……。安さに目がくらんでつい暴走してしまった。味はすごく美味しいわけではないが悪くない。しかし「これが日本の中華よ!」と胸を張るには少し納得がいかないので、ここでは中国人たちに感想を求めないでおいた。
最初に頼みすぎてしまい、減らない皿を見つめていたら中国人店員がやってきて「残したら罰金!」と言い放ったのにはまいった。なんとか食べきったものの、よっぽど空腹でなければ再チャレンジする気になれないかも。
時間無制限なので朝から晩まで居座ることもルール的にはOKということになるのだろう。休日のこの日は混み合っていて長居できる雰囲気ではなかった。たくさん食べたい人には安くて種類も豊富なので、どうせ行くなら平日がオススメだ。
・気合いで食べ歩き
満腹でゲンナリしている中国人たちを説得し、まず来たのは行列ができていた『ブタまんの江戸清』。中華なのに江戸というのも不思議な感じだが有名な店らしい。
スタンダードな『ブタまん』(500円)はコンビニ肉まんの3倍くらいの大きさだ。とってもジューシー。本格的な肉まんの味がする。
気になる中国人たちの評価は……
台湾人「おいしい。台湾でも売れると思う」
中国人「やわらかすぎる。甘すぎる。中国の肉まんのほうがおいしい」
おっと! 中国の彼がけっこう辛口だ! 中国で肉まんは朝食として食べられている。ずっと食べてきたものだけに、こだわりも強いのだろう。
お次は、この日一番の大行列ができていた上海小籠包専門店の『鵬天閣』。
『豚肉焼き小籠包』(4個500円)。あふれる肉汁によるヤケドを回避する方法があるなら教えてほしい。皮はカリカリ……ありきたりな食レポしかできず歯がゆいが、とにかくこれは本当においしい。
台湾人「おいしい。台湾でも売れると思う」
中国人「上海の小籠包と80%くらい同じ。おいしい。惜しいのはソース。(ポン酢っぽいものが用意されていた)ソースだけは中国の方がおいしい」
どちらも高評価だ!
『王府井』という店の前を通りかかると、聞き慣れぬ『胡椒餅』という文字が目に入った。
『胡椒餅』(420円)は台湾の焼き肉まんで、日本に上陸したばかりだという。外側はどう見てもパンだが中身はコショウのきいたゴロゴロ肉。日本にはない味で斬新だ。これは流行るかもしれない?
台湾人「台湾と同じでおいしい。台湾では夜市で売ってるよ! とても人気」
中国人「これは中国にはない。初めて食べたけどコショウがきいていておいしい。“肉夹馍(ロージャーモー)”という西安の食べ物に味が似ている。でもパンが硬いね! 肉夹馍のほうがおいしい」
わー! すっごく勉強になる!
「もう食べられない」というので次はタピオカドリンク。
台湾発祥のタピオカミルクティー屋は日本で増え続けている。私も大好き!
台湾人「嫌いじゃないけど……あまり飲みたくない感じ。甘すぎてカロリーが気になる。台湾では砂糖の量を選べるよ」
中国人「中国では10年前にタピオカブームが去った。中国じゃあまり売れないかも……」
どちらもあまり反応がよくなかったのは男の子だからだろうか……?
そろそろ帰ろうと駅に向かう道中、『老北京』という店に菓子パンが並んでいるのを発見。
中国へ旅行したとき私が毎朝食べていた『揚げパン』(120円)! パンを油で揚げただけの変哲もない食べ物だけど、帰国してから急に恋しくなったのだ。こんなところで再会できて嬉しい。さすが中華街!
台湾人「台湾の揚げパンと完全に同じ」
中国人「中国の揚げパンと完全に同じ」
・未知の中華がまだまだありそう
中国人と台湾人それぞれの好みは日本人の自分と違う部分も多かったけれど、彼らは「自国の料理が外国で食されている」ことに対して嬉しさを感じている様子だった。私も外国へ行ったら自信を持って外国人に日本料理をすすめたいし、カリフォルニアロールだろうが鳥の頭だろうがとりあえず何にでもチャレンジする人間でありたいと思う。
広い横浜中華街にはこの日歩き切れなかった裏道もたくさんあって、頻繁に新店がオープンするなど日々進化を遂げている。中国人観光客が非常に多いので、食べ歩きの店選びに困ったときは、彼らの動向を参考にしてみるのもいいのではないだろうか。
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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▼休日の横浜中華街はものすごい混雑