100年。言葉にするとひと言だが、それは世界が変わるには十分な時間だ。ちなみに、今から約100年前というと、第一次世界大戦の頃。携帯もなければPCもない。世界では戦闘機が生まれ、日本では米騒動が勃発した。
そんな教科書の中の時代から続く駅そば屋が神奈川にある。ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ちそば放浪記」……今回は、まさに歴史的駅そば屋! 伝説級の穴子天をとくと見よ!!
・出会いは偶然
その駅そば屋とは、JR東神奈川駅ホームにたたずむ『日栄軒』だ。外観からも歴史がにじみ出まくっているこのそば屋。出会いは全くの偶然だった。
京浜東北線と横浜線が乗り入れる東神奈川駅。私(中澤)は、乗り換えのタイミングで昼食でも食べようと駅そばを探していた。すると、以下のような貼り紙が目に飛び込んで来たのである。
「創業大正7年以来、変わらぬ自家製つゆが自慢です」
──大正7年と言えば1918年。今から100年以上前だ。第一次世界大戦の頃から続いている駅そばがこんなところにあるなんて。駅を行き交う人々も、このそば屋が国鉄よりも古いとは思うまい。
サラッと書かれており、おまけにスピード勝負の駅そばなので、気づいていない人も多いのではないだろうか。現に100年の威厳は全くない。まあ、駅そばだしなあ……。
・伝説の穴子天そば
されど、その歴史は伝説級と言っても過言ではないだろう。さっそく、表の券売機で「穴子天そば(税込530円)」の食券を購入。カウンターで渡したところ……
穴子天デケェェェエエエ! 丼を突き抜けた穴子天が空まで突き破らんばかりではないか!! まさに伝説級……そんな穴子天を思いっきり頬張った!
ふわふわの穴子ッ! さらに、衣から醤油味のつゆがジュワッ!! 穴子の味が口内から鼻にまで抜ける。口いっぱいに頬張るこの感覚だけで幸せな気分になるのは私が男だからか。しかも、普通のトッピングならこれで食べ終わってもおかしくないが……
この穴子天、全然減らねェェェエエエ! 口いっぱいに頬張っても頬張っても終わらない!! 無限穴子天、ここにあり。
・そばとつゆは女房役
そんな中、昔ながらの駅そばを感じさせるそばの味にハッとさせられる。存在感のある穴子天を受ける女房役、それがこの店のそばとつゆなのかもしれない。
剛腕・穴子天をそばとつゆががガッチリキャッチするこの店。そのコンビネーションの鉄壁さとコスパの高さは、100年の間駅そば大戦を生き残ってきただけある。JR東神奈川駅の片隅にひっそりとたたずむ『日栄軒』。食べて納得の歴史あり。
・今回紹介した店舗の情報
店名 日栄軒
住所 神奈川県横浜市神奈川区西神奈川1丁目6-15-606 東神奈川駅上りホーム
営業時間 月~金6:15〜22:10 / 土・祝6:15~翌21:30 / 日10:00~15:00
定休日 無休
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.