あらかじめ断っておくが、本稿には劇的なドラマのようなものは一切登場しない。極めてユルい内容となっているので、暇すぎて死にそうだという人だけ読んでくれ。
さて、100億円キャッシュバックで話題の決済サービス『PayPay』については、みなさんもすでにご存じのことと思う。支払った金額の20%が戻ってくるというのだから驚きだ。そこで私(あひるねこ)も実際に使ってみたのだが、その結果ややコントみたいな感じになってしまった。
・話題の決済サービス
ここ数日、ネットでは『PayPay』が非常に話題になっている。購入金額の20%が戻ってくるとか、〇〇分の1の確率で全額キャッシュバックになるとか、まあなんとも景気のいい話だ。
私は普段クレジットカードでの支払いがメインで、場所によってカードの電子マネーを利用している。そのため『PayPay』にあまり関心がなかったのだが、当編集部でも「すごいすごい」という声が聞かれ始めると、さすがにちょっと興味を持ってしまった。
・自分も使ってみることに
さっそく『PayPay』のアプリをインストールして、クレジットカード情報を登録。すると……マジかよ! なんか勝手に500円分チャージされたんだが!! ヒュ~太っ腹。ファミマで使えるらしいので帰りに行ってみるか。
仕事帰り、ファミマに寄った私は目当ての商品を手に取り、アプリを起動した。ところが、ここで急にいろいろ不安になってしまう。そもそも『ペ ↑ イペイ』なの? 『ペ ↓ イペイ』なの? 発音が分からない。レジで何て言えばいいんだ。
すると近くにいた女性2人組が、ちょうど『PayPay』の話をしておりマジグッジョブ。そのままレジへと向かう私だったが、この時の心理状態は通常の会計時とは少々異なっていた。
・それだけは避けたい
もっとも恐れたのは、店員に「こいつ、キャッシュバックに釣られてまんまと『PayPay』登録してら。どうせネットの情報とか見て入れたんだろ? しかも使い慣れてないし(笑)」と思われることである。もしそうなったら、その場で切腹するしかない。
・払おうとしたら……
さあ、ついに私の番だ。店員さんにスマホの画面を見せながら、勇気を出して「PayPayで!」と、いつも使ってますけど何か? 的なトーンで言ってみた。すると、30代くらいのハキハキした店員さんは……。
「……! 分かりました……!!」
と、明らかに「来たか!」みたいな感じで返してきたのだ。その反応を見るに、どうやらここまでは特に間違ってないらしい。その後、しっかりと確かめるような手つきでレジを操作する店員さん。私はその様子を固唾をのんで見守る。そして数秒後、一呼吸を置いた店員さんは、私に向かってこう言った。
「どうぞ……!」
何がや……?
一瞬脳がバグったが、おそらく電子マネーのようにバーコードをタッチしろということなのだろう。でも……どこに? 確かにタッチする機械みたいのはある。あるが、そこにはSuicaやPASMOとは書いてあっても、『PayPay』とは書かれていないのだ。
・悟られてはいけない
チラッと店員さんを見ると、すでに私のタッチ待ちみたいになっている。ここで手間取ると、今まで築いてきた常連感がすべてパーだ。私は意を決し、スマホのバーコード画面を機械に当ててみた。だがしかし……。
無反応……!
圧倒的無反応……!!
うんともすんとも言いやしねえ。終わった……。私が20%キャッシュバックに目が眩んだ、欲深い人間であることがバレてしまった……。ところが。切腹の準備をしていると、店員さんもなにやらワチャワチャしているではないか。一体どうしたというのか?
・そういうことか
しばらくワチャッた後、「すいません、こっちでした……!」と、バーコードリーダーを向けてくる店員さん。「あ……はい! すいません……!!」その時、私もすべてを悟った。どうやらこの店員さんもまた、『PayPay』を対応するのは初めてだったようだ。
そう、私たちはどちらも『PayPay』初心者ながら、お互いにそのことを隠そうとした。今回の悲劇……いや、狂おしいほどに愚かな喜劇は、自分を偽った故に起きたのだ。なるほど、私は金銭面だけでなく、人としても『PayPay』に踊らされてしまったようである。
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.