『駄カメラ大百科』という本を買ってからというもの、すっかり駄カメラにハマっている。以前にも記事にしたが、ヤフオクで1円のカメラを買ってパチパチ撮って現像して……という行程が、実にワクワク&ドキドキして楽しいのである。

ちなみに駄カメラというのは、「駄目なカメラ」という意味ではなく、「駄菓子屋感覚な価格で手に入る中古のフィルムカメラ」のことだ。勘違いしないようにしよう。

さて、そんな1円カメラで満足できなくなってきた私は、その後も密かにヤフオクで100円のカメラを買ったり、時には500円くらいのカメラを買ったりしている。しかし、つい先日落札したカメラの中に……フィルムが入っていたのである。

購入したのは、「詳しいことはわかりません。何も確認しておりません。部品が足りているかもわかりません。 ジャンク品として出品します」との説明書きで出品されていた『OLYMPUS TRIP JUNIOR』なるフィルムカメラである。

電池を入れ替えれば動くだろう……という気持ちで落札した。価格は送料別で442円だった。しかし、商品到着して、軽いクリーニングをし、電池のフタを開けてみると……

う、うおぉ……!!

この粉吹き具合から見るに、相当古いぞこれ……。そして、取り出した電池も……

モーレツに懐かしい感じがする。その昔、小学校時代くらい……こんな電池、よく見かけた。

で、ブラシなどで電池部分も掃除して、新しい電池を入れたら、もう使えるカナ……と思いきや!!


え!


えええっ……!!

フィルムが入ったまま……!!

えー、こんなの初めて。どうしよう……。

とりあえず困った時は我がバイブル『駄カメラ大百科』をチェック。すると「駄カメラあるある」的なコーナーの中に、「前の持ち主のフィルムがそのまま入りっぱなしになっていた」との記述が! あるあるだったのか、これ……。

そのコラムを読み進めると、書籍に登場している駄カメラ愛好家たちは、そのような場合、必ずフィルムを現像しているのだという。写真を見て思いを馳せたり、「持ち主に届くかもしれない」という可能性も考えて現像するそうな。

たしかに、そのまま捨てたら、もうそれで終わりだ。どんな思いでこのカメラのシャッターを切ったのか。そして何を写していたのか。いろいろな「記憶」が、このフィルムの中には入っている。そして、それを私は発掘してしまった……。


ならば……


現像するしかない……!!


ということでフィルムを取り出したところ、これまた地味にビックリ。

じゅ、12枚撮り……!

私はあまりカメラには詳しくないのだが、「12枚撮り」のフィルムを見たのなんて人生初。自分の記憶にあるのは24枚撮りだ。こんなのが、あったのか……。

ちょうど手元に24枚&36枚撮りのフィルムがあったので記念撮影もしておいた。そして、そのまま写真屋さんへ行って「現像」ならびに「データ化」をお願いしたのだが……


一体、何が写っているのだろう。


現像を待っている間、もしも穏やかではない事件の現場とか、人には見せられないような体の部位のドアップ写真とかだったら写真屋さんもビックリするだろうし、もしかしたら通報されるかも……なんてことを考えていた。

そして数時間後、写真現像完了の時刻になったので、ふたたびドキドキしながら写真屋さんに行ってみた。しかし、店員さんは、とても申し訳無さそうに、こう説明してくれた。


店員さん「こちらのフィルム、光が漏れていたのかどうかわかりませんが、きちんと絵が出ていたのは数枚しかありませんでした……


大丈夫。なにせ超絶に古いカメラである。しかも「詳しいことはわかりません」との説明で売られていたほどのカメラである。そんなことだろうと思っていた。いいや、むしろ、数枚だけでも何かが写っていたことのほうが奇跡であろう。

私は、渡された封書をすぐにその場で開封&確認した。データ化された写真も、すぐに全てスマホにダウンロードした。そして、穴のあくほど、じっくり眺めた。すると……まるで自分が子供の頃に戻ったかのような、不思議な感覚を覚えたのである。はたして、そこには何が写っていたのか? 続きは次ページへ……。

参考リンク:Amazon「駄カメラ大百科」
Report:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.