さっぱりした甘みが爽やかな明治ブルガリアヨーグルト。朝食にもピッタリで、日本人にとってヨーグルトと言えばこれである。だがしかし、明治さんよ。あんたたちの言うブルガリアヨーグルトは本当にブルガリアヨーグルトなのか?
ここらで白黒ハッキリさせとくべきじゃねえのか! ガチかどうかを!! というわけで、ブルガリア人に食べさせてみることにした!
・とか面白くない?
そんな企画を、営業のシノミヤにシャレで言ってみたところ……
シノミヤ「はっはっは! こりゃ傑作! 行きましょうブルガリア!! 僕の方でも全力で動いてみますね! 交通費と滞在費とアテンドも合わせて100万円くらいですかね。ヨーグルトは空輸しましょうか」
──こっちがひるむくらい食いついてきた。池の鯉かよ。そんなにぐいぐい来られると逆に「もういいかな」という気分になってきたので放っておくことにした。ああ面白かった。アホな想像って話してる時が一番楽しいよね。
~1ヵ月後~
シノミヤ「せいじさんすみません! EUの輸入制度の関係でヨーグルトは空輸できないみたいです……」
中澤(私)「いきなり何の話?」
シノミヤ「ブルガリア人にブルガリアヨーグルトを食べさせるんですよ!」
中澤「まだその話してたんかい」
シノミヤ「でも、安心してください! 僕がなんとかするので。他の国に輸入してから陸路を攻める手段を検討してみます!」
中澤「(何言ってんだコイツ)」
~2ヵ月後~
シノミヤ「すみませんせいじさん……」
中澤「え? 何が?」
シノミヤ「ブルガリアにヨーグルトを運ぶのはやはり制度的に不可能でした……」
中澤「ああ……そんな話あったね」
シノミヤ「なんとか違う方法を探ってみますね。在日ブルガリア人はどうかな? まず、ブルガリア大使館に問い合わせて……」
中澤「(今さらシャレだったなんて言えない)」
~3ヵ月後~
シノミヤ「せいじさん! やりましたよ!!」
中澤「え? 何が?」
シノミヤ「知ってますか? 在日ブルガリア人は約500人いるということを」
中澤「少なッ! ところでなんでそんなにブルガリア人に詳しいの?」
シノミヤ「しかし、ブルガリア大使館に連絡を取っても、在日ブルガリア人の情報は得られませんでした。そこでブルガリア料理店を当たってみたんです」
中澤「っていうか、なんでブルガリア人を探してるの?」
シノミヤ「そしたら、見つかりました! ブルガリア人が!!」
中澤「ねえ聞いて。人の話を」
シノミヤ「というわけで、こちらが在日ブルガリア人のアントニオさんです」
アントニオさん「アントニオです」
中澤「えっ」
アントニオさん「えっ」
シノミヤ「えっ」
・ヨーグルトでもどうぞ
日本に来て5年になるというアントニオさん。日本大好きな彼は、日本の大学で教育学部を卒業して教員免許(「ALT」ではない)も持っているほどに日本語がペラペラである。
まさか本当にブルガリア人に会うことになるとは思ってもみなかったが、せっかく来てくれたので明治ブルガリアヨーグルト(プレーン)を振る舞おう。どうですか? ブルガリアのヨーグルトと比べて……
アントニオさん「美味しい。個人的には圧倒的に美味しいと思います」
──ブルガリアのヨーグルトと明治ブルガリアヨーグルトに違いはありますか?
アントニオさん「全然違いますね。ブルガリアの伝統的なヨーグルトはもっと酸っぱくてあんまり好きじゃないです……」
──えっ……!
アントニオさん「実は私は、ブルガリアにいた頃ヨーグルトが嫌いで、そのまま食べたことはほとんどなかったんですよね」
──ええッ!!
アントニオさん「ブルガリアにおけるヨーグルトって、日本で言う醤油とかみりんみたいな調味料っぽいもので、料理とかにはよく使うけど普通の若い人はあんまりそのまま食べないかも。日本でも味噌汁を若い人ほど飲む機会が少ないですよね。ブルガリアも同じで若い人ほどヨーグルトを食べていないと思います。もちろん人にもよると思うんですが、私の場合、酸っぱいものが苦手なのでブルガリアの伝統的料理もあんまり好きじゃなかった」
──予想外すぎる答えです……。
アントニオさん「でも、日本に来て、家に招かれて食事した時に用意されてて、せっかくなので食べてみたらめちゃくちゃ美味しくて……明治ブルガリアヨーグルトに出会ってヨーグルトが好きになりました。ヨーグルトってこんなに良いものだったのか! と」
──逆輸入的な感じでヨーグルトの良さに目覚めたと。
アントニオさん「今でも、ブルガリアのヨーグルトはあんまり好きではないです。でも、日本人観光客とかは『やっぱり本場のは美味しいね!』と言っているので、どっちが美味しいかは人によるとは思います。酸っぱいものが好きな人はブルガリアのヨーグルトも好きかも?」
──とのことだった。アントニオさんによると、明治ブルガリアヨーグルトはプレーンでもブルガリアのヨーグルトより甘く食べやすいのだという。
まさかのブルガリア人がヨーグルトに目覚めるキッカケを作った明治。本場の背中を追い続けた明治は、すでに本物を抜き去ってしまっていた。これ以上のガチはないだろう。
参考リンク:明治ブルガリアヨーグルト倶楽部
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼動画はこちら