2018年9月8~9日の両日、毎年恒例のフジテレビ系列「FNS27時間テレビ」が放送される。何と今年の放送では、深夜枠で当編集部が出演する予定だ。マジかよ! 全国地上波に出演するのかよッ!! 収録に臨んだ私(佐藤)でさえ、そう思っている。

有名芸能人の皆さんと共演したことがいまだに信じられず、放送のその瞬間が待ち遠しくて仕方がない。このままジッと待っていたら、どうにかなりそうだ。もう待てない! ということで、東京・お台場のフジテレビで27時間過ごすことにした。

・フジテレビに27時間!

フジテレビの本社屋には、一般に開放されているエリアを除いて、誰でも簡単に立ち入ることはできない。FNS27時間テレビの制作担当者に「放送まで待てないので、27時間いてもいいですか?」と相談したところ、かなり怪訝な顔をされた上に1度は断られたのだが、何とか懇願して、入館を認めてもらった。入ってしまえばこっちのもんだ、へへへ……。


8月末のある日、時間は午前11時。ここから27時間の長い戦いが始まる……。


決行した日は、まだ夏休み期間中ということもあって「ようこそ!! ワンガン夏祭り THE ODAIBA 2018」が開催されており、本社屋正面の広場や7階のテラスでは、特設ステージや企業ブースなどが設けられ、子どもを家族連れで大変な賑わいを見せていた。私はその賑わいを後にして、フジテレビ18階へと移動した。


・フジテレビには何があるのか?

フジテレビの中には、一体何があるのか? きっと多くの人が疑問に思っていることだろう。収録スタジオがあるのはもちろんなのだが、大勢の社員を抱える巨大社屋の中には、かなり意外なものがある。

たとえば、コンビニエンスストアだ。

1階にローソンがあるのだが、上層階にいたらイチイチ下まで降りていくのは面倒だ。18階に小さいながらも品揃え豊富な店舗が存在している。


そして書店。こちらは割とデカく、一般の書店と同じだけの在庫を抱えている。雑誌や小説・漫画など、かなり充実している。

驚いたのは、他局の番組の本まで当たり前に売っていた。そこらへんはあまり関係ないらしい。


・食堂のレベルは高い

当然飲食店もある。2階の食堂は昼どきになると、社員はもとよりイベントスタッフも利用するので、かなり込み合っている状況だ。


まだ27時間も始まったばかりだが、腹が減っては戦はできぬ! ということで少し早めの昼食にすることにした。


この日のランチとハムサラダを注文。それを、 “いかにもテレビ関係者ヅラ” して席について頂いた。


社員食堂なんかどこも一緒だろう、そんな気持ちで食事をしたのだが、味はしっかりとしており、クオリティはかなり高い。ヘタをしたら、大型ショッピングモールのフードコートより良いかもしれないと思った。


さて、これでかなり時間を費やしたはずだ。ブラブラしている訳にもいかないので、そこから多少仕事にかかる。


レインボーブリッジを眼下に見て、仕事をする日が来るとは、マジで思わなかったぞ。気分がイイから仕事もはかどる!


そこそこいい時間になったかな? と思いつつ、時計を見てみると。

まだ2時間しか経ってない。マジかよ……。


・理容室で髪を切る

開始2時間で早速やることがなくなって来たので、18階のレストランでかき氷を食う。


実はフジテレビ本社屋は、ガラス面が多く結構暑い。よく日の当たる南側のエレベーターホールは、直射日光でむせ返るような暑さだ。その暑さを和らげるのに、かき氷は最高のぜい沢だ。


かき氷食ったところで、時間はそれほど経過しないので、理容室で髪を切ることにした


ちなみに理容室は一応時間制になっているみたいだけど、フラリと入ってもすんなりとカットをしてくれた。3人の熟年女性理容師さんが丁寧に応対してくれたぞ。モヒカンの私は、サイドが少し伸びてきたので、3ミリにしてくださいとお願いした。


約1時間の施術で、見違えるほど男前が上がった!


・異様に集中力が高まるけど……

さ~て、だいぶ時間も経ったし、日も傾いてきた。


相当時間も経過はずだと思いつつ時計を見てみると……。

そうでもない……。5時にもなってへんやないか。もうこのフロアでできることは何もない……。


日が沈むのを眺めながら、再び仕事に取り掛かる。実は、この場所において自分は完全なる部外者であるために、誰にも話しかけられることがなく、仕事がはかどって仕方がなかった。記事を書く以外にやることがないので、集中力も高まり普段の倍以上のスピードでタスクを消化してしまっている。


このまま行くと、残り12時間を迎える前に、出来るすべてのことをやり尽くしてしまいそうだった。だからといって、小心者であるがゆえに、こんな時にゲームで遊んだり、映画を見たりして時間を潰すことができない。

私の頭の片隅では、ある疑問が浮上していた。『なぜ、ここにいるのか?』、だがその疑問はすぐに頭からかき消した……。


・レインボーブリッジをバックに自撮り

すっかり日が落ちて、レインボーブリッジに灯がともる頃、18階から12階に移動するように言われた。18階は夜になると真っ暗になるという。


自販機が置かれた打ち合わせスペースみたいなところが、私が朝まで居座る場所になりそうだ。

時計を見ると、まだ7時……。ウソだろ、この時計ぶっ壊れてんじゃないのか? そう疑ってかかってみたものの、スマホを見てもやっぱり7時。たまりかねて食事のために外に出た。


フジテレビ本社屋の向かいにあるアクアシティで食事を済ませて、ライトアップされたレインボーブリッジを眺める。100万ドルの夜景って、こういうのを言うんだろうな~。実に美しい。


周りでは、カップルや家族連れが楽しそうにおしゃべりをしたり、記念撮影をしている。そんななかで、私はレインボーブリッジをバックにして、オッサン1人で自撮り……。


寂しい! 超絶寂しい!! モヒカンのオッサンが夜景を自撮りしている姿を、傍から見た人も、寂しくなってしまうほど、絵面が寂しいじゃないか。もうここにはいられない! ということで、フジテレビに飛んで帰った。


・3時間の地蔵化

さて、いよいよやることがなくなった。夜になって社屋をウロウロ歩き回るのも危険だ。警備員につまみ出されたら、元も子もない。


だからといって、ここでジッとしていても……。結論が出ないまま、地蔵と化すことによって、何とかアクアシティから戻った21時からの3時間をやり過ごすことに成功した。

それでもまだ深夜0時。27時間フジテレビ終了時刻の14時までは、軽く12時間以上もある……。


…………地蔵化して数時間を経た後に、担当スタッフがたまたま12階を通りかかった、私の思考は完全に停止していたのだが、それを呼び覚ましてくれて、1階の仮眠室に案内してくれた。そんな便利な部屋があるなら、先に言えよ!


ということで、仮眠室に避難した。ここはリクライニングチェアが数台置いてある薄明りの部屋で、文字通り横になるためだけの部屋だ。椅子を倒した瞬間に私は眠りに就いていた。そのまま、朝を迎えるものと思っていた……。


ところが、2時間も経たないうちに目が覚めてしまった。ここで横になっていたのは私だけではない。他の関係者も寝ており、そのうちの1人のイビキが耐えがたいほどうるさかった。地響きか? と錯覚するほどのうるささに堪えきれずに、12階に舞い戻ったのである。


・寝袋で見る夢

そして、非常用に準備していた寝袋で就寝することにしたのだ。夢うつつ、混濁する意識の狭間で私は夢を見ていた。


私は夢のなかで草原を歩いていた


どこから来たのか? どこへ向かっているのか?

それさえもわかない。ひどく疲れているのは確かだ


不意に立ち止まって周りを見ると、辺りが暗くなっていることに気付く

近くに人の気配はなく、ただただひとり取り残されているのだった


助けを呼ぼうにも声が出ない、胸の高鳴りが激しくなるのに

もはや立ちあがることさえもできなくなっていた


心のなかで必死に叫ぶ!

「誰かー! 誰かいませんかーーッ!!」


涙をボロボロと流しながら、声なき声で叫んでいると

空から誰かが降りてきた。あ、あれは?


『佐藤さん、佐藤さん』、そう呼んでいる気がする

ま、まさか天使?


夢のなかで呼びかけていると感じたその声は、現実のものとして聞こえている気がする。


「佐藤さん、こんなとこで寝てると身体壊しますよ」


現実であることを悟った私は、メガネをかけて声の主を見る。すると、あ、あなたはーーーッ!!!!


めざましテレビの久慈ちゃんじゃないですかーーーーーー!!!!!!!!!! カワイイーーッ! 超絶カワイイ!! めざましにもほどがあるだろッ!


・人生で1番ウマいコーヒー

久慈暁子アナは、私が出演しているFNS27時間テレビの「飯テロ‐1 グランプリ」で、東野幸治さんと共に司会を務めていた。番組スタッフが、私が12階に寝ていることを伝えてくれ、様子を見に行くように言われて、めざまし本番前に声をかけてくれたのだ。まさに奇跡! 天使に起こされたと私が錯覚するのも当然である。

しかも、差し入れにアイスコーヒーまで持って来てくれた。


身に余る光栄。私は今までの人生で、こんなにウマいコーヒーを飲んだことがあっただろうか?


断言できる、ない! 今までの44年間を振り返って、今日ほどウマい朝のコーヒーを飲んだことは1度もない。


そうして至福の朝は一瞬で終わった。多忙な久慈アナはすぐにスタジオへと向かったのである。ああ~、残念……。


朝も5時30分になろうということ、制作スタッフがやって来て、「実は仮眠室だけじゃなくて、宿泊室もあるんすよ。寝ます?」という。だから、それも先に言えよ! まあ、でもおかげで久慈ちゃんのコーヒー飲めたから、許す!


ここは、2重ロックの設けられたカプセルホテルのような宿泊室。奥にはシャワー室もあるらしいのだが、私はとりあえず、寝ることにした。

今度はマジでちゃんと寝られそう……。


翌朝、目が覚めたのは8時30分頃だ。3時間寝ただけだが、かなり気分はスッキリとしている。持ち場(?)の18階に戻って、朝のレインボーブリッジを眺めながら、仕事を始める。思えば、長い27時間ももうゴールが近づいて来ている。


どれだけ辛く長い道のりでも、1歩また1歩とあゆみを進めることで、確実に終わりへと近づいて行けることを、今回の27時間フジテレビで学ぶことができた。


この後に朝食を食べた後に、午後まで仕事に集中して、ようやくその時を迎えた。14時である。


前日11時から翌14時まで、無事に27時間フジテレビを完走することに成功したぞ! 諦めない限り、必ずゴールにたどり着く。止まない雨はない、明けない夜はない! そして、時には天使に出会える奇跡が訪れるかも。きっとあなたの夢も叶う日が来る。そう私がやり遂げたようにね

感動をありがとう~!

・番組詳細

名称 FNS27時間テレビ「飯テロ‐1 グランプリ」
放送時間 2018年9月8日25:20~

取材協力:フジテレビ「FNS27時間テレビ
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24