現在、フジテレビで絶賛放送中の「鬼滅の刃」 無限列車編。これは大ヒットした劇場版に新しいエピソードが追加されたテレビ用新バージョンだ。これが終わると、いよいよ2021年12月5日から新章「遊郭編」が開始となるわけだが……

そんな鬼滅の刃についてまたも批判的な声が。問題となっているのは、9月後半の鬼滅ゴールデン祭だ。劇場版のゴールデン枠での放送についてBPO(放送倫理・番組向上機構)に「子どもにはグロテスクすぎる」という視聴者意見が複数届いている模様。

・異例のゴールデン

フジテレビでの放送が決定する前から大型コンテンツとして成長しきっていた鬼滅の刃。それだけに、フジテレビでの放送は鳴り物入りで、放送が開始される直前のフジテレビは鬼滅祭り状態だった。

なにせ、9月11日、12日、18日、19日、23日とテレビ1期「立志編」の特別編集版を放送した後、25日には劇場版を放送。全日、土・日・祝日であり、ゴールデン枠で2時間前後と深夜アニメとしては異例すぎるファンファーレを鳴らしたのである。

・BPOへの視聴者意見

だからこそか、9月前半分の放送について「暴力的でグロテスクな画が多くて大変不快」という視聴者意見がBPOに寄せられたことは以前の記事でお伝えした通り。そして、今回、BPOでは9月後半から10月前半までに視聴者から寄せられた意見が公開されているのだが、その中にこんな部分が。

「土曜21時から放送された劇場版アニメ映画について、「PG12指定の刺激の強い残虐なシーンがある映画を放送するのはいかがなものか」などがありました」(BPO「青少年委員会 議事概要」より引用)

9月後半、土曜21時から放送された劇場版アニメ映画でPG12指定って『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』しかない。ちなみに、紹介されている視聴者意見はもう1つあって、それが「21時からの放送で、子どもにはグロテスクすぎる。元々は深夜放送なのに、規制も無しに放送しないで欲しい」というもの。

・BPOの対応

前者はどうか分からないが、後者は区分けの話をしている。つまり、「ゴールデンでやる内容ではないのでは?」ということだ。そして、これに対しBPOは……

「委員の中でも、殺陣や血しぶきのシーンへの配慮について意見が割れたため、全員で再度視聴して次回に改めて議論することとしました」(BPO「青少年委員会 議事概要」より引用)

──とのこと。というわけで、改めて議論という形になった模様。

以前の記事で触れた通り、私も劇場版で触手が出てきた時に『Fate』を連想したのは事実だし、そういう文脈を子どもに見せていいものか迷う人の気持ちは分かる。だが、翻すと、そういう文脈の表現があるからこそ鬼滅の刃に漂う暗さが深みを帯びているというのもあって、その落としどころが劇場版のPG12指定だったのかもしれない

ちなみに、現在放送されているテレビ版無限列車編の最新話4話では、ついに魘夢が本格的に登場した。こちらは23時15分からの放送で深夜帯に差し掛かる辺りのため、区分けはされているとも言えるが、この議論の行く末はファンとしては気になるところである。

参考リンク:BPO「第239回青少年議事概要
執筆:中澤星児
画像:(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable