みんな大好きAmazon。半ば習慣、無意識に利用しまくっている人も多いだろう。だがそこに、思わぬ罠が潜んでいたとしたら?
Amazonには、第三者が委託販売できる「マーケットプレイス」という仕組みがあり、Amazonが売っているように見えても、実は全く関係ない業者の商品が山のように混じっているのは、皆さんもご存知の通り。
しかも「78円」とか「88円」とか、原価割れとしか思えない激安プライスでありながら「配送料無料」という「謎の商品」がわんさとある。
常識外の低価格、しかも無料配送。何か腹黒いウラでもあるのか? 恐る恐る何度か注文してみたけど、以前紹介した「39円の激安学習リモコン」をはじめ、実際買ってみると何事もなく到着。品質も申し分ないという拍子抜けのケースがほとんどだった。
しかし今回紹介するのは、それとは全く別。限りなく真っ黒に近い灰色の出来事である。
・変な汗ダラダラ。ヤバイ、ヤバイ! 確認してよかった!
今春、中国人と思われるマケプレ出品者の激安カメラガジェットをいくつか購入した。
国内ブランドだと2000円はするワイヤレスシャッターが数十円。見かけ立派なアルミ三脚がわずか数百円みたいな……とにかくアホみたいに安い。これ、アルミの金属代だけで足出てないか? しかも送料無料。誰が儲かってるのよ?
仕組みは謎だが、安いぶんにはありがたい。この日、私は激安カメラグリップや雲台などを3点ばかし購入。商品代金は1259円。安くてびっくりだが、さらに驚きの出来事が発生した。
注文完了から間もなく、アマゾンから受注確認のメールが届いた。おなじみのテンプレメールで、普段なら読みもせず消してしまうところ、この日は虫の知らせか、久々にメールを開いて内容を確認。その直後、全身から変な汗が吹き出るのを感じた。
請求金額の欄に書かれたとんでもないケタの数字。ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ……。その額、100万円オーバー! ウヒャーッ!
クァッと目を見開いて二度見、三度見する。無料だったはずの送料が、ひゃ、百万円! 送料無料だから買ったのに、いつの間にか発送方法が「マケプレお急ぎ便」になっている……。
これ、業者の自由設定した送料で直接送ってもらう発送方法で、一番選んじゃいけない奴だ。自分で指定した記憶は無いのだが、ともかく送料百万円。しかもすでに注文確定しちゃってる。た、た、助けて!
……と焦りまくっていたところ、当の出品者(中国人)がいきなりこのようなメールを送りつけてきた。
「システムの計算ミスで配送料100万円になっていますが、実際の配送料は14,000円ですので(一度あなたのクレジットカードから100万を決済して)商品を出荷した後、差額の986,000円を返金することができまーす。発送しますか? あるいはキャンセルしますか?」
おお、親切な人でよかった……。と感動もつかの間、ハッと我に返った。システムのミス? 配送料は1万4000円? 98万6000円を返金? 普通じゃないことをしれっと書くなよ!
とり急ぎ、この尋常じゃない事態を早速Amazonに通報するも……。
「Amazon.co.jpにお問い合わせいただき、ありがとうございます。
お問い合わせのご注文商品はAmazonマーケットプレイスの出品者が販売、発送する商品であり、Amazon.co.jpでは対応することができませんので、お手数ではありますが、お客様ご自身で出品者に直接ご相談いただく必要があります」──以下省略。
ご覧の通り、ひどくあっさりとした返信だった。で、この事務的なメールの末尾に【問題が解決しない場合の保証について】 という項目があるのだが──
「お問い合わせ後2営業日以内に出品者からの返答がない、もしくは満足な回答が得られなかった場合には、配送料を含めた購入総額のうち最高30万円までを保証する「Amazonマーケットプレイス保証」というプログラムをご用意しております。」
しょ、しょしょ、しょうなのだ……。仮に満額保証が適用されたとしても、最高30万円の補填しかしてくれない。しかも自ら「注文を確定」してしまった私の場合、満額保証が受けられる可能性すら疑わしい(誓って言うが、マケプレお急ぎ便を選んだ記憶は無いのだが)。なんかもう、死にたくなってきたわ……。
・連中の目的なんなのか?
結局この後、出品者と直接交渉して運良く注文をキャンセルできたが、Amazonは最初から最後まで遥か彼方から我々のやり取りを優しく見守るだけで何もしてくれず、キャンセル後もこっそり100万円を引き落とされるんじゃないかと翌月まで気が気ではなく、落ち着かない日々が続いた。
その後、類似のケースを調べてみたところ、なんと2016年末に佐藤記者がほとんど同様の事例をレポートしていた。あれから1年経っても、状況はほとんど変わってないということか。
私の場合はキャンセルできて良かったが、中には100万円の送料が1万4000円まで安くなった。ラッキー!と、何だかわからないまま騙されてしまう人がいるかもしれないし、最後まで何も気付かないまま、100万円の送料を払ってしまっている人だって、いないとも限らない。
それでもAmazonはやめられない。そんなあなた。魑魅魍魎のマケプレ商品を避けるだけでトラブルの可能性はほとんどゼロになるが、こうした中国系の怪しい激安商品がAmazonショッピングの醍醐味でもあり、難しいところである。
せめてチェックアウトの際、発送方法が「マケプレお急ぎ便」になっていないか、指差し確認を最低三回は行って、安全な買い物を楽しんでいただきたい。
Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.
▼こうならないために、確認、確認、ハイ指差し確認!