どんな街にも「穴場」と呼ばれる店があり、その穴場には予想を超えるようなメニューが存在しているものだ。人知れず提供されるそのメニューには、意外な秘密が隠されているものである。

日本一長いと言われる大阪・天神橋筋商店街の穴場のラーメン屋「おばちゃんとこ」もまた、この界隈のディープスポットのひとつ。メニューを見てみると……ナニ!? ラーメン丼だと! ラーメンなのか? 丼なのか? その正体はッ!!

・天神橋筋商店街

私事で恐縮だが、日本一長いアーケード商店街であるにもかかわらず、私(佐藤)はこれまで訪ねたことがなかった。大阪に来るのはこれが初めてではない。今までに何度も来ているはずなのに、天神橋筋商店街に来たことがない。その事実に我ながら驚いている。

南北に約2.6キロ。約600店ものお店が立ち並んでいるそうだ。ちなみに私が訪ねたこの日、偶然番組の収録中と思われるダウンタウンの浜田雅功さんを見かけることができた。さすが大阪である。


そう思いながらブラブラ歩いていると、あるお店の看板が目に飛び込んできた。


「おばちゃんとこ」?


いやいや、どこのお店でもおばちゃんくらいおるやろ。したら、どこのお店も「おばちゃんとこ」やないかい! なんでやねんッ!! と軽いツッコミを入れつつ、店の様子を見ようと思ったら……


え!?


この奥に店があるの? ちょっと入りづらいんだけど……。とはいえ、穴場と呼ぶにふさわしい立地。これは行ってみるしかないだろう。改めてメニューを確認してみると、店名に劣らないインパクトのある料理名があるじゃないか。


ラーメン丼(800円)だと!?

メニューの一番下に記載されているのに、そのインパクトは他の料理を軽々と凌駕しているじゃないか。これを頼むとしよう。


・昭和丸出しのラーメン屋

お店は、昭和の雰囲気全開のラーメン屋。間もなく「平成」が終わろうとするなかで、色濃く昭和を残す希少なお店だ。朱色のカウンターに、真っ赤なクッションが張られた丸椅子。壁には年季の入ったメニュー札と、有名人のサインがズラリと並んでいる。

注文するのはもちろんラーメン丼である。店の片隅に置かれたスポーツ新聞に目を通し、阪神タイガースの活躍をたしかめていると、カウンター越しに出てきた。ラーメン丼だ。


うん? 普通のラーメン?

少しとろみのあるしょう油ベースのスープに、分厚いチャーシュー。たっぷりの野菜とツルリとした麺。見えているものは、間違いなくラーメンである。


ところが! 麺を食い進めると、丼の下の方から黄色い物体があらわれた、コレは!?


まるで、山奥に清らかな水をたたえる湖の奥底に眠る水没都市


無限に広がる雲海の狭間から、静かに姿をあらわした幻の古城


連綿と続く時間の大河から忽然(こつぜん)と出現した特異点


そう、ラーメンの下で息をひそめるソイツは……


天・津・飯


・心に風穴

私の頭には、一瞬「気功砲」という言葉がよぎった。まさしく、ラーメン丼は私の心に風穴を開けるような衝撃だ。麺を食い終えたと思ったら、その先に待ち構えている天津飯。スープと卵、ご飯の味が混然一体となって、口のなかに押し寄せてくる。この味の三位一体、どこかで味わったことがあるような……。

そういえば、島根・出雲縁結び空港にも同じようなメニューがあった。まさかあれと同じような料理に、再びこうして巡り合うとは。ラーメンと天津飯、この2つはいずれどこかで巡り合う運命にあったのかもしれない。ラーメンを食べた後に、天津飯に遭遇する衝撃を、あなたにも味わって頂きたい……。

・今回訪問した店舗の情報

店名 おばちゃんとこ
住所 大阪市北区天神橋2丁目北2-23
営業時間 11:45~13:30、18:00~21:00
定休日 土日祝日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24