誰でも子供の頃に怖かったもの、嫌いだったものがあると思う。ニンジン、ピーマン、お化け、暗い所、雷……。おそらく、その中には注射も含まれるはずだ。インフルエンザの予防や採血で腕に注射を刺される。それは、子供にとって恐怖以外の何物でもない。
子供の頃と書いたが、現在30代の私(あひるねこ)は、いまだに注射がけっこう怖い。先日行われた会社の健康診断で採血をされた時も、やられる前からすでに怖かった。なのに、周りの大人たちを見ると、みんな涼しい顔をしてやがるのだ。あんたら、注射が怖くないんか!?
・注射が怖い
そもそも注射の意味がよく分からない。シャーペンの先っちょよりも細い針を、よりにもよって自分の皮膚にブッ刺すなど、もはや正気の沙汰ではないだろう。何かのヤクザ漫画で、刃物を素肌に直接刺せる人間はそこまで多くないみたいな話があったぞ。私からしたら、刃物も注射針も似たようなものだ。
・健康診断での話
最初に書いたように、先日会社の健康診断があった。オフィスで行うのではなく、専門の施設にこちらから出向いてお願いするのだ。もちろん男女でフロアは分かれているものの、いろんな会社のいろんな年代の大人たちが、皆おそろいの検査着に身を包んでいる光景はちょっとおかしかった。
・採血の恐怖
年齢的にもバリウム検査なんかないし、どうせこの日も大したことはしないだろう。余裕をぶちかます私は、待合室の椅子に座りながら何気なく検査項目に目を通す。しかし次の瞬間、衝撃が走った。しまった! ここには “ヤツ” がいたんだ!! そう、私の目に飛び込んできたのは、「採血」という恐怖のワードだったのである。
完全に油断しきっていた私は、2文字の漢字によって絶望のどん底へと叩き落とされた。数十分後、私は注射を打たれるのだ。針を皮膚に突き刺され、そこから体内へと強引に侵入、ドクドクと血液を抜かれるのだ。鬼畜……! まさに悪魔の所業である。これが……これが人間のすることかよォォォォオオオオ!!
・迫る約束の時
身長・体重の計測の時点で、私はすでに若干の恐怖を感じていた。その後、血圧を測り、視力・聴力を検査する。心電図をとった後、「次は採血ですねー」という女性スタッフの言葉により、私の緊張はいよいよピークを迎える! ……しかしだ。一体何なんだ? 周囲の大人たちの、この落ち着きっぷりは。
・涼しい顔してるヤツなんなの?
周りには私と同様、検査を受けている男性がたくさんいた。当然、彼らもこれから注射を打たれるのである。なのに何だ、その涼しい顔は! 注射など意に介していないようなその表情は!! 「オレにとってこの状態は、昼下がりのコーヒーブレイクと何ら変わらない平穏なものだ」などと、ハンターハンターっぽいことでも言いたいのか? あん!?
・執行
ついに順番が回ってきた私に対し、呪文の詠唱のような早さで説明をあびせる看護師さん。よく分からんが、採血管3本分抜くってマジかよ。腕をアルコールで消毒されている時の怖さは異常。昔テレビで刺す場所をあらかじめ押しておくと子供が泣かないってやってたけど、それ俺にもやってくれませんか? あ、あ、あ、あ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……。
私は、怖いので目をつぶっていました。それを察したのかは不明だが、「今2本目が終わりましたからねー。もうすぐですよー」と気持ち優しくなる看護師さん。なんとか採血を終えると、私は「別に何ともなかったですけどね」的な表情を浮かべながら、その場を後にしたのだった──
・怖いものは怖い
結論、30代だけど注射は怖い。以上である。涼しい顔をしていた大人たちも、本当は内心怖かったのではないか? 大人だから、怖くないふりをしていただけではないのか? 言いたいことも言えないこんな世の中……ポイズンだね。私は再び、声を大にして言おう。注射怖えェェェェェェエエエエ!
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.