そこそこ年齢のいったオジサンたちであれば、接する人の多くは年下であり、割と敬語を使われる立場だったりすると思う。自分自身も目上の人、年上の人に対して、敬語を使って接しているかもしれない。
そんな関係性のなかで、不意に相手がため口で喋ってくることはないだろうか? 面食らって何も言い返せなかったりして……。アレは一体何なのか?
・組織で最年長
当編集部でもごくごくまれにある。私(佐藤・44歳)は最古参の年長者で、もっとも若いあひるねこ(32歳)とは12歳差。つまり干支がひと回り分違う。年上だからとか先輩だからという理由ではなく、後から入ったメンバーにしてみれば、年上の私に敬語を使うのは最初から自然だった。
私を除いて他のメンバーはみんな良識と節度があるので、敬語で話されることが、私にとっての日常である。
・ビクッとしてしまう
しかし時々、思わぬタイミングで ため口を聞くことがある。たとえばサンジュン(40歳)と意見を交換していた時に、「あ、そうか。それいいね!」とか言われると、ナゼかわからないけど、ビクッ! としてしまう。
急激に距離を詰められ、私の間合いに入って来られた気がして、身構えてしまうのだ。ただし、ため口だからといって、「お前、先輩にそんな口のきき方ないだろ」と言ったりはしない。胸のうちに秘めておくだけである。
それにしても、ナゼ不意にため口が飛び出してくるのか? 同じような経験をしたことがある人も少なからずいるだろうが、私の考える理由は以下の通りだ。
・要因その1
まず1つが、「親しみのあらわれ」だ。
多少砕けた話もできる距離間が心地良くて、油断した弾みでため口が出てしまう。これは関係としては良い形ではないだろうか。
・要因その2
次に考えられるのは、「尊敬の裏返し」。
場面と関係の深さにもよると思うが、心の底から尊敬しているからこそ、あえてため口を繰り出して、相手との距離感を確かめようとする行為。ボクシングで例えるならジャブだ。先輩にジャブを放って、どう返すのか確かめたい後輩の可愛らしい一面である。
・要因その3
最後がとても厄介だ。それは……。
完全に見下されている。
本人の前だけ敬語。不在の時に同僚との間では、「アイツ」呼ばわりしていて、尊敬の対象であるはずがない状態。普段通りに敬語で話していたところ、油断して不意にため口が出た格好だ。
見上げて欲しいとは思わないけど、見下されるのは心苦しい。できれば後輩が思わず発したため口に、ビクっとせずに過ごしたいものである……。
執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24