光があるところには影がある。ウェブライターにとって、自分の書いた記事が多く拡散されることは光栄だが、バズっている記事の裏には幾千幾万のクソ記事があるのだ。
そうやって日々、ネット界に生み落とされるクソ記事。どうやってもどうにもならなかった……そんなクソの中で、2017年最強を決めようぜ! ロケットニュース24 presents「クソ記事オブザイヤー2017」、ここに開・幕!!
・クソ記事とは
クソ記事には色んな事情がある。「当初予想していた結果にならない」「思いついた時は面白いと思った」「ネタが弱い」「何も思いつかない」……だが、記事はあげる! それがライター。
結果的にクソになってしまったとしても、ライターの工夫や努力の跡、人格が垣間見えるのがクソ記事の良いところだと思う。そんな愛憎入り乱れるクソ記事をロケットニュース24の記者たちに挙げてもらったぞ!
・中澤星児「【実録】YouTuberヒカルに変装してサギ集団の根城に潜入してみた!「サギの実態」の一部始終をban覚悟で完全公開」
「ひょっとしたらサイトがダウンするくらいアクセスが増えるんじゃないか」とワクワクしながら公開したら普通にスベったこの記事。東京で鷺(さぎ)がいるスポットにダメ元で取材申請をしまくって、次々と断られる中、「OK」を出してくれた港野鳥公園にはマジで感謝である。
「まさか撮影許可が取れるなんて……」というところから現地に鷺がいっぱいいたことまで、色んな奇跡で力が入りすぎたのかもしれない。(中澤星児談)
・P.K.サンジュン「【わかる】3月10日は「サンジュンの日」だ! 全サンジュン納得の『サンジュンあるある』30連発!!」
あれはネタ会議でのこと。編集部の中澤が「3月10日ってサンジュンの日じゃないですか!」と発したことから全てが始まった。同じく3月10日の「佐藤の日」に対抗するつもりで書いたが、いかんせん「サンジュンあるある」が30個も出てこない……。うむ、当然だ。
なんとか必死に30個をひねり出したが、日本全国のサンジュンが少なすぎるため、普通に伸びない記事になってしまった。それでもそこのサンジュンに聞きたい「あなたの胸にこの記事は刺さりましたか?」と。ある意味で、未来永劫語り継がれるべき「サンジュンの記録」と思っていただきたい。(P.K.サンジュン談)
・K.ナガハシ「【検証】Amazon不動の1位「Bluetoothスピーカー・Anker SoundCore」に第2弾が登場! どう変わったのか音質をグラフにして確かめてみた」
Bluetoothスピーカーの中でも、Amazonで爆売れしている超有名モデルの新型ということで「記事にすればヒットするに違いない……」と思い、ワクワクしながら即ポチって音質などをレビュー。
だがしかし、スピーカー関連で過去最低といえるほど残念な結果となってしまった。ちなみに、同記事がトラウマとなって、これ以来スピーカーのレビュー記事が書けていないのはここだけの話だ。(K.ナガハシ談)
・あひるねこ「【大発見】ケンタッキーの骨でダシをとった「ケンタ風呂」が最高に気持ちイイことが判明 / 肌もツヤツヤになるし一石二鳥」
これを企画した編集部・Yoshioは大ヒットを予感していたようだが、その勝算がどこから来たのかは謎である。動画の撮影中も心の底から楽しげなYoshio。
しかし、他に笑っている者はいなかった。特につけ麺のくだりに関しては、もはや狂気すら感じさせる。私(あひるねこ)はまさに、この男の傀儡(くぐつ)と化していたのである。(あひるねこ談)
・K.Masami「【初体験】セラピスト全員がイケメンの『カラダビューティー』でアロママッサージを体験してみたら…」
マッサージにイケメンとくれば世の女子が放っておかんだろう、と予想していたのだが思いっきりスルーされた切ない記事だ。マッサージの魅力を伝えきれず、記者自ら女性が気持ちよくなれる機会を絶ってしまったという点で今回選んだ次第である。(K.Masami談)
・沢井メグ「ダイソーの「Bluetooth リモコンシャッター」がマジ最高! これがあれば手ブレなし、完璧な角度で自撮りできちゃう / 美肌カメラでも使えるよっ」
ダイソーのリモコンシャッターは神。しかし、思ったより伸びなかったのは、ひとえに私の書き方の問題であろう。自分がクソであったという意味でのクソ記事である。
なお、この記事は「リモコンシャッターを使って、いかに自撮りっぽくない写真を撮るか」が裏テーマ。そのため、ソシャゲのアイドルガチャやギャルゲーヒロインのポージングなどを研究したのだが、その結果、周囲から「写真がキモイ」という声をいただいており、自分のなかで黒歴史だ。
でもダイソーのリモコンシャッターはマジ神。それだけは伝えたい。(沢井メグ談)
・小千谷サチ「【何してたの?】飛行機のトイレに一緒に入っていた男女 / 別々に出てくるもバッチリ撮影されていたでござる」
私は、他のロケニュー部員とは違って、海外メディアのネタを取り扱うことが多い。取材等に出る機会が少ない分、爽やかで、笑えて、ときに涙が出るようなネタを取り扱うようにしている……が、この記事はクソだったなあと思う。
他人の行動にイチャモンを付けているだけで、爽やかでもないし、笑えもしないし、涙も一滴も流れないからだ。元の動画を撮った人は、「他人のことに口を出す」という点では「ゲス」かもしれないが、オリジナリティもあり「クソ」ではない。だがこの記事は、オリジナリティもないということで「ゲス」の上に「クソ」と言えるだろう。(小千谷サチ談)
・砂子間正貫「【ひと夏の思い出コラム】ハスキーボイスのお姉さんに「〇〇したらキスしてやるよ」と言われた話」
まるでAVのような展開を期待してしまう挑発的なタイトルの記事。恋愛のドキドキと恐怖のドキドキが複雑に絡み合う力作なので、ドラマ化も狙えると思い責任感を持って執筆した。
が、結果的に反響がゼロだったのは、多くの人が本文ページを開く前に「読んだら冷静でいられない」と判断したのかもしれない。クリックすることをためらう禁断の作品と言えるだろう。(砂子間正貫談)
・GO羽鳥「世界50カ国11万人以上が参加した『世界最大のドラッグ調査2017年度版』による「ヤバイことになって救急病院に行くハメになったドラッグ」ベスト9」
酒(アルコール)を含むドラッグについての危険性をガチでまとめた永久保存版の記事なのに、さらに言えばイギリスの調査機関とも密接な連絡をとって仕上げたガチ中のガチの国際的な危険ドラッグ警鐘記事なのに、ビックリするほど読まれなかった。
この記事の制作に尽力してくれたボブさんは「俺は日本人に幻滅したよ。麻薬を取り締まる警視庁や厚労省とかも記事を拡散してくれねぇし。これだから正しい知識が広まらねえんだ。もう俺は知らん。無知のまま酒やドラッグを摂取して中毒になって病院に送り込まれて懺悔しろ」と悲しげに語り、その後、協力してくれなくなった。(GO羽鳥談)
・佐藤英典「【役立つ豆知識】男性が他人に見られたくない “超大切なフォルダ” に付けがちな名前6パターン」
人は誰でも秘密を持ちたがるものである。その秘密を暴いた問題記事だったと思うのだが、世の紳士たちは、「触れてはマズイ!」と思ったらしく、大きな騒ぎにならなかった。逆に紳士たちをヒヤッとさせた結果が、この沈黙なのではないかと私は推測している。ある意味においては、大ヒットした記事だ。(佐藤英典談)
・和才雄一郎「【素朴な疑問】パンツにウンコがついたとき、クリエイター達はどうするのか? 実際に聞いてみた」
他の人が出したクソ記事のノミネート作品を見ていると、ぶっちゃけ「まだまだみんなクソっぷりが足りない」と言わざるを得ない。私(和才)の場合、今年2017年に出した記事のうち、少なく見積もっても3割はクソ記事だ。
そんなクソオールスターとも言える今年の私の記事の中で、個人的に最も心に残っているのはコレ。テーマからしてクソな記事である。ちなみに、実は記事の公開日が私の母の誕生日。「小学生の頃に何度もパンツにウンコをつけてごめんよ」という母への懺悔の気持ちを込めて執筆した記事なのだ。(和才雄一郎談)
──以上である! ロケットニュース24の記者たちがガチでクソだと思う記事11連発。最後まで読んでくれた人には感謝である。だがしかし、最初に書いた通り、クソ記事はチャレンジと試行錯誤の歴史。それは栄光への第一歩と言えるかもしれない。
「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ。(トーマス・エジソン)」
ロケットニュース24は、これからも恐れずトライ&エラーを繰り返すと思いますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.