
数年前に比べ、日本で楽しめる台湾コンテンツがグっと増えた今日このごろ。そのなかで最近公開されたのが映画『星空』だ。「やっと……!」と思った人もいれば、「えええ、いま?」と思った人もいるかもしれない。
私(沢井メグ)も、2011年に話題になっていたのを知っており、日本上陸をとても楽しみにしていたひとりだ。でもなぜ公開に6年もかかったのだろう? そこには深~いワケがあったのだ。なんと版権が行方不明になっていたという。
・台湾映画『星空』
版権が行方知れずとはどういうことだったのか!? そのまえに、まずは映画について、ザックリ紹介したい。『星空(監督トム・リン)』は、台湾の国民的絵本作家ジミー・リャオ原作の映画。
主人公は、家庭的な環境から心も身体も行き場を失ってしまった13才の少年少女。2人は日常を捨て、少女の思い出の地 “おじいちゃんの山小屋” を目指して旅に出るというものだ。
乱暴な言い方をすると、何のチカラもない子供の家出だ。お察しのとおり、とても切ない結末を迎えるのだが、圧倒的な大自然と絵本の世界をファンタジックに描いた映像、そして胸にチクっとささるストーリー展開ともあいまって、多くの人が涙したという。
2011年に台湾、香港、中国大陸で公開され、2012年には大阪アジアン映画祭で好評を博す。その勢いのまま一般公開されるかと思いきや、そこでプツッと足取りが途絶えてしまったのだ。2017年の公開まで。その理由が「版権が行方不明になった」なのである。
・版権が行方不明!? 詳しく聞いてみた
行方不明になっていたものが、上映にこぎつけたということは、探し出した人がいるということ! そこで版権を見つけ出した柳川由加里さんに詳しく話を聞いてみた!
柳川さんは、過去に『海角七号 君想う、国境の南』『セデック・バレ』『あの頃、君を追いかけた』『画皮 あやかしの恋』などの映画や、中国、香港のTVドラマを数多く買い付けた方だ。『星空』には何が起こっていたのだろうか。
・『百日告別』の公開がきっかけ
柳川さんによると、一般的に外国映画の公開は、ワーナーなど日本に支社がある大手をのぞくと、バイヤーが映画祭や映画のマーケットで「これは!」と思うものを見つけ出し、交渉することから始まるのだそう。
しかし、『星空』の場合は少し違った。同じくトム・リン氏が監督をつとめた作品『百日告別(2015)』の日本公開が決まった際、Twitterなどで「そういえば『星空』は日本で公開されていない」「『星空』先にやってよー」という声が多く寄せられ、それを受け、柳川さんも動き出したのだという。
・「もう日本には売った」→ 誰が持っているのかわからない!
そこで得た情報は、「日本の版権は売れているらしい」ということだったのだとか。権利元に確認しようと思っていた矢先に『星空』『百日告別』の台湾人プロデューサーに会う機会があり、直接聞いてみたところ……
柳川さん「もう売れているけど売り先はわからない、ということでした。誰が売ったのかというと大陸の「フアイーブラザーズ(華誼兄弟)」だと」
もともと『星空』はフアイーが有望な若手監督に助成金を出して作られた10作品のうちの1本であり、そのためセールス権もフアイーが持っていたのだそう。大陸側から日本に販売されていたわけだ。
・「版権行方不明」の真相
日本で誰かが権利を持っている、だけどずっと公開されていない。そこで柳川さんは話を聞いた台湾人プロデューサーに、権利の持ち主について調査を依頼。その結果、契約していたのは柳川さんも面識がある某在日中国人プロデューサーということが判明したそう。
最初「持ってたかなぁ」という反応だったというが、柳川さんが「フアイーから10本預かってませんか?」と聞くと、「あったかも」ということに。契約書を探してもらったところ、確かにそのプロデューサーが『星空』の版権を持っていることが明らかになったのだ。
つまり……
台湾サイド→日本には販売済みと、中国側から報告を受けた
中国サイド → 日本には権利を売った(10本まとめて)
日本サイド → 10本まとめて契約したが、そのなかに『星空』があるのを認識していなかった
というわけで、権利は日本サイドに渡っていたにもかかわらず、展開されることなく「版権も行方不明状態」だったということなのだ。そういうことだったのか!
『百日告別』の公開がなければ、SNSで映画ファンからの声があがらなければ、そしてその声を柳川さんがキャッチしていなければ、『星空』は今も埋もれたままの “幻の作品” だったかもしれない。
そして、柳川さんがデスクを置くポリゴンマジックが版権を得て、2017年秋についに上映がスタートしたわけだが、それが原作絵本の日本語版の発売年と重なるとは何という巡り合わせだろうか!
・日本公開までにもさまざまなドラマ
ひとつの作品が公開されるまでにも、さまざまなドラマがあるものだなぁ! この背景を知ると『星空』の公開もとても感慨深い! 『星空』は現在、東京、大阪、長野で上映中。その後、順次、各地の劇場でも公開予定だ。
参考リンク:映画『星空』公式サイト
Report:沢井メグ
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▼『星空』予告編
▼きっかけとなった映画『百日告別』
沢井メグ




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