この度、ある消防署が Facebook に投稿したバーベキュー写真が炎上した。理由は、彼らがバーベキューで食べていたソーセージ。
実はこれ、消防士が火事場から助け出した豚の肉で作られたソーセージで、農場主から「助けてくれたお礼に」とプレゼントされたものなのだ。そうした背景を知った人々から「ヒドい」という声が集まっているのだ……。
・消防士たちが豚を救出
2017年2月、英ウィルトシャーの農場で60トンもの干し草が燃える火事が起こり、現場から18匹の子豚と2頭のオス豚が地元のピュージー消防署員によって助け出された。
この子豚たちは、食肉用として育てられてきたそう。英メディア『Daily Record』によると、農場経営者であるレイチェル・リバースさんは消防士たちに「救出された子豚から作られたソーセージをお礼にプレゼントする」と約束していたという。
・消防士たち「素晴らしい味だった」とソーセージを絶賛
それから6カ月後、リバースさんは約束を守り、救出された豚の肉で作られたソーセージを消防士たちに送った。
消防士たちもソーセージをありがたく受け取り、バーベキューで美味しく食べたもよう。その様子を収めた写真を消防署の Facebook ページにアップし、ソーセージを入手した簡単な経緯を説明しながら「素晴らしい味だった」と誉め称えた。
・「救出されたのが人間や犬なら?」「恥を知れ」など非難殺到
すると写真を見た人々から「助けてくれたことはありがたいけれど、食べてしまったのは本当にヒドい」「恥を知れ」など怒りの声が寄せられることに。
動物擁護団体『PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)』も、「かわいそうな豚たちはせっかく助かったのに、6カ月後に食肉処理場で恐ろしい目にあいました」「もしも “救出” されたのが人間の子供や犬だったらどうでしょう? 豚だって私たちと同じように恐怖や痛みを感じます」と声明を発表。
「本物のヒーローになるのは簡単」であることを伝えるために、完全菜食主義者向けに作られたビーガン・ソーセージを消防署に送る考えを示している。
消防署はバーベキューの写真をすでに消去しており、かわりに「嫌な思いをする人々に思いが至らなかった」と謝罪の言葉を Facebook 上に掲載している。
・農場側「畜産で動物の死は避けられない」
一方、ソーセージを送ったリバースさんは、『BBC』に対して「屠畜(とちく)され、食物連鎖の輪の中に入るまで、動物たちを最高の環境で育てています。最後は悲しくなりますが、ソーセージとして消防士に送ったのは、感謝を伝える良い方法でした」「私たちは農家で、これが私たちの行っていることです。豚をペットとして飼うことは出来ません」などと話したと報じられている。
また農場のオーナーであるキャノン・ジェラルド・オズボーンさんも「畜産で動物の死は避けられない。そうやって私たちは肉を食べているのです」とも述べているのだった。
参照元:BBC News、Daily Record(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.