「うんこ味のカレー」と「カレー味のうんこ」食べるならどっち? かつて流行した “究極の選択” 。どちらを選んでも良いことなし、でも選ばなければならない……この度、そんな究極の選択を使って人が周囲の評判をどれだけ気にするか調査が行われた。
調査では「利き手を切断する」か「顔にナチスのシンボルマークのタトゥーを入れる」の2択が提示されたのだが、あなたならどっちを選ぶ?
・米大学が行った究極の選択
米フロリダ州立大学で行われたこの調査。男女学生166人に対して前述の究極の選択が投げかけられたところ、70%が「利き手の切断」を選んだという。
利き手を切断されたくないけれど、ナチスのシンボルのタトゥーが顔に入っていれば「人種差別主義者」だと思われ、友達はできず、就職や結婚などが難しくなるのは確実……うーん、どちらを選んでもツラすぎる。
また同調査では、以下の2択も投げかけられている。
質問:「今すぐに死ぬ」か「ロリコンで子供に性的虐待をしていると誤解されながら、90歳まで生きる」のどちらを選ぶ?
この質問では53%の学生が「今すぐに死ぬ」を選択している。
・なぜ人は周囲の評判を気にするのか?
なぜここまで多くの人が、利き手の切断や死を選ぶのだろうか? 調査グループは、人間同士が協力しあう社会では、世間での評判がとても重要であり、生死にかかわるほどの大きな影響を及ぼすからではないかと説明している。
「良い評判は、社会からの利益を得るための鍵のようなものだ。評判が悪くなると、その鍵を失うことになる。他者の助けなくして人間は生きていけない。鍵を持たなければ、生きるのが困難になる。世間からの消滅はすなわち死を意味する」
過去に行われてきた別の調査でも、良くない噂で知られる人間は、社会から罰せられたり追放されやすいことが判明しているそうだ。
・実際の選択でも人は評判を気にするのか? 虫を使って実験
しかし “究極の選択” は、仮定の質問であり、いわばお遊び。実際に選択を迫られた場合でも、人は評判を気にするのだろうか? ということで調査チームは以下のような実験を行った。
学生グループに、隠れ人種差別の傾向が分かるテストを受けてもらう。でもこれは偽のテスト。どう答えても回答者は「人種差別主義者」だと判別されてしまい、しかも結果は学校内で公表されてしまう。
・「人種差別主義者」or「たくさん芋虫を触る」の究極の選択
自分が人種差別主義者であることが、広まってほしくない人も多いはず。そこでチームは回答者に「別の実験に参加し、バケツに入ったたくさんの芋虫の中に手を入れれば、テストの結果を公表しない」と持ちかける。
そう、「人種差別主義者だと知られる」か「たくさんの芋虫の中に手を突っ込む」かの “究極の選択” だ。すると3分の1もの学生が、自身の評判を守るために「芋虫」を選んだのだった。
今回の結果を受けて、調査チームは、これまで考えられてきた以上に人は評判を気にしていることが判明したと述べ、利他的に見えても自分の評判を守るために行われている行為も多そうだとも指摘している。
他人の目なんか気にしないぜ! と言っても、人種差別主義者や犯罪者と誤解されても生きづらい。あなたなら、どちらを選択するだろうか?
参照元:Research Gate、Seeker(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.