本日2017年6月28日においてもっともホットな芸能人といえば、タレントの大竹まことさんで決まりだろう。公式戦29連勝の快挙を成し遂げた最年少棋士・藤井聡太四段への「誰かシメてやれ」というコメントが、現在ネットで大炎上中なのだ。

「それが大竹さんの芸風だから」という擁護の声も一部ではあるものの、若者を叩く老害の典型として、大竹さんを批判する声が大多数を占めている印象である。その様子を眺めながら、私(あひるねこ)は10年ほど前にアルバイト先で大竹さんに軽くキレられた時のことを思い出していた……。

・ゴルフの打ちっぱなしでバイト

大学生の頃、私は都内のゴルフ練習場でアルバイトをしていた。ゴルフ練習場とはゴルフコースのことではなく、クラブでボールを打つ練習をするいわゆる「打ちっぱなし」のことである。行ったことはなくても、グリーンネットで覆われた広い施設を見たことがあるという人は多いはずだ。

約10年前になるだろうか。私はそこでフロアスタッフのアルバイトをしており、主に打席の清掃や練習に来たお客様の対応などをしていた。都心の一等地にあったため、休日ともなると駐車場には高級外車がズラリと並ぶ。有名人を見る機会も非常に多く、地方から上京してきた私にとっては楽しい職場だった。

・大竹まことさん、来場

そんなある日のこと、打席のボールが詰まったという連絡を受けた私は、工具箱を持ってその打席へと向かった。この練習場はボールを打つと自動的に次のボールがセットされるような仕組みだったのだが、たまに機械の中でボールが詰まってしまうため、その都度ちょっとした修理が必要だったのだ。

「すいません! お待たせしましたー」と、いつものように打席へ入っていく私。そこに1人で座っていた眼鏡の男性が、大竹まことさんであることはすぐに気が付いた。「すげえ、大竹まことだ。『TVタックル』の人だ。テレビで見たまんまだな」と内心驚きながらも、急いで作業に取り掛かる。

・不穏な空気

この時点で、無言ながらも大竹さんのイライラした雰囲気が伝わってきたように思う。たしかに時間がない中でわざわざ来て、練習を中断されたらイラつくのも無理はないだろう。作業中はそういったイライラ視線をダイレクトに背中に浴び続けることになるため、私は日頃から素早い処理を心掛けていた。

機械を開けて中の具合いを見てみる……が、これはちょっと面倒な感じだ……。よし、ダッシュで片付けるか! と、工具で機械をカチャカチャいじっていると、イスに座っていた大竹さんがついに口を開いた!

「あのさー、隣の席使っちゃダメなの!?」

・怖えーよ

10年前なので正確ではないと思うが、大体こんな感じの内容だったはず。怒鳴ったというわけではないものの、その声にはハッキリとした怒りのトーンが含まれていた。そして、私はこの発言にかなりビビッてしまう。

そこまでお待たせしていたわけではなかったし、普段ならお礼こそ言われても、怒られることはあまりなかった。何より、“あの” 大竹まことに、明らかな「怒」の感情を向けられるという状況に、若造だった私はビビってしまったのだ。

・THE 大竹まこと

ただ、平日の午後という時間帯で場内は空いていた。それなら作業中に隣で打ってもらえばよかったか、という反省の方が自分の中で強く、すぐに謝罪し移動の手続きをすることで事態は収束したのだった。大竹まことは、どこに行っても大竹まことなんだなーと思った記憶は、今も鮮烈に残っている。

最後に1つだけ大竹さんにお願いしたい。お気持ちはわかるが、若者をあまりいじめないでほしい。普通のことでも、あなたが言うと正直ちょっと怖いのだ。それだけ、どうかお願いします。ちなみに、私が練習場で見かけた有名人の中でもっとも感じが良かったのは、おさる・山川恵里佳夫妻である。その話は、いつかまたどこかで。

執筆:あひるねこ
イラスト:マミヤ狂四郎