【20年振り】テレクラに行ったらこうなった(2ページ目)
まずは、サチコさんのプロフィールをご紹介しよう。福祉系のお仕事に就くサチコさんは、横浜市在住の40代女性。その最大の特徴は、とにかく声が小さいこと。普通に “ヒソヒソ声” である。30分の間で「もう1回いいですか?」と聞き返したことも1度や2度ではなかった。
か細い声のサチコさんは、きっと可憐な女性なのだろう。もしくは、横浜でも断トツに電波が弱いところから電話してきているのかもしれない。
サンジュン:「サチコさんはテレクラとかよく利用されるんですか?」
サチコさん:「いえ……初めてです……(極小)」
サンジュン:「奇遇ですね。僕も20年振りくらいにテレクラに来たんですよ。サチコさんはどんな目的でテレクラを利用したんですか?」
サチコさん:「恋が……したいですね……」
どうやら、サチコさんは恋するきっかけにテレクラを選んだようだ。ぶっちゃけ話が盛り上がりそうにもないタイプだったので、早めに電話を切ろうとしたのだが、ギリギリ聞き取れるくらいのボリュームで、サチコさんは色々と質問をしてきた。
サチコさん:「趣味は……なんですか……」
サンジュン:「そうですね、プロ野球観戦ですかね? あと読書も趣味ですかね」
サチコさん:「あ……私も読書します……文庫本とか……」
サンジュン:「そうなんですね。どんなジャンルを読まれるんですか?」
サチコさん:「探偵ものとかですかね……文庫本の……」
ハード本でも文庫本でも構わないが、サチコさんはどうやら文庫本がお好きらしい。推理小説を「探偵もの」と表現するユニークなサチコさんだが、こちらの質問に対してはチンプンカンプンな返答が相次いだ。
サンジュン:「サチコさんは花が好きなんですよね? お花見とかはされますか?」
サチコさん:「はい……します……」
サンジュン:「横浜だと、どこら辺が桜の名所なんですか?」
サチコさん:「(沈黙)……千鳥ヶ淵とか……? スカイツリーとか……?」
サンジュン:「えっと……千鳥ヶ淵って東京ですよね?」
サチコさん:「癒されますか……?」
サンジュン:「あ、はい。癒されます……」
この「癒されますか?」もサチコさんの必殺ワードで、「恋がしたいですね」と同じくらいの頻度で登場した。この時点で、サチコさんは “ド天然” か “大馬鹿野郎” の2択に絞られたが、正直、サチコさんにはもう興味が湧かなかった。
しかし電話を切らせてくれないサチコさん。彼女は驚くべき一手で、引き止めにかかってきたのだ。
サンジュン:「じゃあ、また縁があればお話ししましょう。ありがとうございました」
サチコさん:「あ……ここから続けていきませんか……?」
サンジュン:「続けるって電話ですか? うーん……」
サチコさん:「電話番号……教えてもらっていいですか?」
サンジュン:「え? 携帯ですか? 別に構いませんが……、○○○-△△△△-□□□□です」
サチコさん:「携帯は電源入ってますか……? 何を使ってますか……?」
サンジュン:「iPhoneですね」
サチコさん:「iPhone……。スマホですか……?」
サンジュン:「iPhoneご存じないですか?」
サチコさん:「癒されますか……?」
サチコさん……全ッ然 癒されないよ! 私も人間なので、会ったことがない人とはいえ、自分勝手に電話を切りたくない。その後も「どこでもドアで昔に戻りたい」からの「癒されますか?」コンボや、プログラミングされてるレベルの「恋がしたいですね……」をウンザリするほど聞かされ、何の実りもない謎の30分は終了した。
──その直後から、iPhoneを震わせ続ける非通知設定。1度も出ていないから、サチコさんだとは限らないが、3時間で5回ほどの着信があったことは記述しておこう。まるでiPhoneが「恋がしたいですね……」とささやいているようである。
なお、その後のコールも含め、今回は1時間で5人の女性とお話をした。サチコさんで半分は消費したから、5分に1本ペースくらいの体感だ。
言うまでもなく、援助交際目的やサクラも多いだろう。ただ、「奇跡が起きるかも……」と思わせる不思議な魔力があったことも事実だ。約20年ぶりのテレクラは、実にイリュージョナルな空間であった。サチコさんに幸多かれ。
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼とても不思議な60分だった。