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以前の記事で、アフリカのメタルシーンを詳細に伝えた書籍「デスメタルアフリカ」についてお伝えした。同じくインドネシアのメタルシーンを伝える「デスメタルインドネシア」、旧ソビエトのテクノ事情を伝える「共産テクノ」など、数々の奇書(?)を出版している、合同会社パブリブから、またまた怪しい書籍が登場した!

その書籍とは、「中国遊園地大図鑑 北部編」である。中国? 遊園地? この2つの組み合わせが醸す怪しさと言ったら。実際に書籍を読んでみると……。何コレ、やっぱりムチャクチャやないか! パクリ天国かよ!! 子どもがギャン泣きするアミューズメントパーク多数ッ!

・帯から面白い

この書籍は、「辺境音楽マニア」でお馴染みのハマザキカクさんが編集を手掛けたものである。献本頂き、書籍を手に取ったところ、まず帯の文章から、やたらと心惹かれるものがある。

「キモかわいくない ネズミやネコの形をした着ぐるみ 中世の城を装うハリボテ・萌えキャラだらけの遊具・食欲失せるフードコート・トラウマ必至のお化け屋敷・日本兵相手のサバゲー風の抗日テーマパーク」(中国遊園地大図鑑 北部編より引用)

遊園地のガイドのはずなのに、ワクワクしない。行きたいとさえ思わない。なのに、この書籍の中を見てみたいと思うのは、どういう訳だ!? ネズミやネコって、世界的に人気のアレと、リオ五輪閉会式のセレモニー映像に登場したアレじゃないのか?

・悪夢の始まり……

パラパラとページをめくって、最初に出てくる遊園地「北京石景山遊楽園(ぺきんせっけいざんゆうらくえん)」の様子を見てみると……。

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やっぱり! どこかで見たことあるようなキャラと、今まで見たことのないキャラが混在しているぞ!! 悪い夢でも見ているような気分になるじゃないかッ! 最初の10数ページで始まった悪夢は、最後のページまでみっちりと続く。

・誰やねん!

お次は、河南省の「龍華歓楽園(りゅうかかんらくえん)」。ここは大仏の御尊顔を、遊園地の創業者にしてしまったそうだ。

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・ネズミ型コースター特集

誰やねん、このオッサン! 出たがりにもほどがあるだろ。しかも金ピカ、無駄に神々しい! 掲載されているのは、全28施設。その1つひとつに度肝を抜かれるのだが、それらの合間に用意された特集がイチイチ面白い。

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例えば、ネズミ型コースター特集。ネズミ型ってアレだよね、アレしかいないよね。それにしても出来が悪い。悪すぎる……。やる気あんのか? 少しは見栄え良く作ろうと思わないのかね、まったく!

・お化け屋敷がムダに怖い

と、ちょっと見下した感じで油断していると、要注意だ。出来が悪いからこそ、迫力が増すものもある。それはお化け屋敷……。

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ギャーーーーッ! 何この自然偶発的な迫力は。作りが雑だからこそ生まれる恐怖感。薄明りのなかで、これらのお化け像を目にしたら、完全にチビるだろ。怖すぎる。

摩訶不思議、奇々怪々、やる気があるのかないのかさえも分からない、チャイニーズワンダーランドの魅力がふんだんに詰め込まれている1冊だ。実際に現地に行けなくても、旅気分を存分に味わうことができるぞ。歪(いびつ)で頽廃的で、やや投げやりな中国遊園地の世界をご堪能あれ!

参考リンク:Amazon 「中国遊園地大図鑑 北部編」 (中国珍スポ探検隊)
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24