anoir1

オムライスを説明するときに、よく使われる言葉のひとつに「ふわふわ」がある。タマゴの食感を説明するときに、用いられることが多いのだが、「それ本当にふわふわなのか?」と思うケースも珍しくない。

なぜなら、本当のふわふわオムライスが存在するからだ。本当のふわふわとは、すでにタマゴの形状を少しもとどめていない。たとえば、東京・高円寺の「アイノワール」のオムライスは、一見するとパンケーキに乗ったホイップクリームのようにさえ見える。しかしこれは確かにオムライスなのである。

・駅から離れてる

お店はJR高円寺駅から、徒歩約10分のところにある。駅から離れており、駅南のパル商店街からも外れたところだ。立地は良い場所と言えないのだが、ランチ時は満席で、店前で入店を待つ人の姿もある。いわゆる隠れた人気店なのである。

anoir2

野菜にこだわった自然食のオーガニックレストランで、ランチ時はプレートランチが人気。そして『チキンピラフの鉄板ふわふわオムライス』(800円)が看板メニューとなっている。

anoir3

・ミキサーで泡立てる音

注文すると、厨房からはミキサーでタマゴを撹はんする音が聞こえてくる。キメの細かい泡雪のようなタマゴを作り上げるために、提供の直前までタマゴを泡立てるようである。そうして、出て来たのがヨソでは見ることのできない、独創的なオムライスである。

anoir4

真っ白の泡の山には、下にチキンライスが眠っている。何も知らない人なら、これがオムライスだとは思わないだろう。デザートか何かと勘違いしてしまうかもしれない。生クリームのように白いタマゴはとても美しい。

anoir5

・食べるのがもったいない

スプーンで泡をすくってみると、改めてそのキメの細かさに驚く。食べてしまうのが、もったいないとさえ思ってしまう。

anoir6

これは本当にオムライスなのか? 実物を目の前にしても、オムライスであると信じられない。泡を押しのけて、器の下を掘りすすめてみると、下には鉄板が敷かれており、そのさらに奥にはチキンライスが隠されている。鉄板に触れた泡の一部は、その熱でたしかに焼き目がつき、それがタマゴだと教えてくれる。

anoir7

・これこそ「ふわふわ」

チキンライスと共に一口頬張ると……。これぞふわふわオムライス! タマゴの口どけが一般的なオムライスとまったく違う! 「溶ける」という言葉こそが、タマゴの食感にもっともふさわしいじゃないか。今まで食ってたオムライスは、これに比べればふわふわではない! カチカチだった。

anoir8

これは、モンサンミッシェル風オムレツと同じように作るのではないだろうか。タマゴをしっかりと泡立てて、チキンライスの上に乗せて仕上げている。調理法としてはかなり技量が必要だと思う。まさに隠れた名店。駅から若干離れているが、足を運んででも食べたい味である。

anoir9

・今回紹介した店舗の情報

店名 アイノワール(Ailnoir)
住所 東京都杉並区高円寺南2-37-13 ハイム山川 1F
営業時間 11:30~14:30、17:00~20:30
定休日 水曜日(第1・3火曜は夜営業休み)

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]