90年代初期の「渋谷系」を代表するユニット「フリッパーズ・ギター」。洋楽にインスパイアされた軽快な曲と高い音楽性が、その後のポップミュージックに与えた影響は計り知れず、今でもフリッパーズ・ギター好きを公言するミュージシャンは多い。
フリッパーズ・ギターが解散した後、ボーカルギターを担当していた小山田圭吾は『コーネリアス』という名義でソロ活動を続けているのだが……な、なんと! この度、彼のステージに『Beck』がゲスト出演した。日本とアメリカが誇る天才のドリームマッチが実現だ!!
・フリッパーズ・ギターの解散
90年代の伝説となっているフリッパーズ・ギターは、小沢健二が所属していたということでも有名である。たもとを分かつことになった後、華々しいオリコンチャートの常連となった小沢健二に比べて、より音響に寄った音楽を追求したコーネリアス。
・当時10年先を走っていたアルバム『ファンタズマ』
その音楽性は、10年先を行っていると思えるほどに実験的だった。そしてそういったテクノロジーとユーモラスな世界観が溶け合い、ポップに昇華されたのが1997年に発表されたアルバム『ファンタズマ』である。
当時、大学生だった私(中澤)は、12曲目の「THANK YOU FOR THE MUSIC」に衝撃を受けた。カントリー風味のポップな曲調で始まるこの曲。間奏であふれ出すように世界観を塗り変えてしまう音の洪水と、最後には宇宙にぶっ飛んでいく感じが今聞いても最高だ。
・『ファンタズマ』完全再現ライブのアメリカツアー
そんな『ファンタズマ』のアメリカにおけるアナログ盤での再発売にともない、現在北米で全曲再現ライヴ・ツアーを行っているコーネリアス。そして2016年8月6日、ロサンゼルスの「The Orpheum Theatre」にて行われた公演に、アメリカが誇る天才ポップアーティスト・Beckがゲスト出演したというから驚きだ。
Beckと言えば、1994年のデビューから大ヒットを飛ばし、グラミー賞の受賞歴もある世界的ソロアーティストである。8月8日のコーネリアスのインスタグラムで、その時のステージショットが投稿されているのだが、そこにはしっかりテルミンを操るBeckの姿が。なお、この投稿には「Theremin Boys」というコメントがついている。
しかも、Beckのインスタグラムにも、コーネリアスやバンドメンバーとのショットが投稿されており、その様子からは友情が感じられる。天才と呼ばれるソロアーティスト同士、通じる部分があるのかもしれない。
個人的には、コーネリアスの実験的雰囲気がそのまま世間に認められているところが凄いと思う。時代……追いついたなあ。日本が誇る天才・コーネリアス。聞いたことがない人は、ぜひ一度聞いてみてくれ。
参照元:Instagram @corneliusofficial、@beck
執筆:中澤星児
▼『ファンタズマ』完全再現ライブのロサンゼルス「The Orpheum Theatre」にて行われた公演の様子
▼テルミンを演奏するBeck
▼Beckとコーネリアスの共演の様子
▼ヘッドフォンで聞くと楽しいコーネリアス「THANK YOU FOR THE MUSIC」