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GW中に映画を観ようと考えている人もいるかもしれない。私(佐藤)も久々に映画を観ようと思い、劇場に行った。前評判のあまりよくない実写版『テラフォーマーズ』を観ようと思ったからだ。実写版といえば、昨年『進撃の巨人』を観たのだが、原作とのかい離というか、「どうしてこうなった?」の連続だったことが思い出される。

進撃は原作を知っていたので、そのかけ離れた映画の内容にあきれるばかりだった。一方のテラフォーマーズは、原作を知らない。原作と比較せず、映画を純粋に楽しめると思ったのだ……。ところが! 実際に観たところ全然意味がわからない。またもや、何だこりゃ!? となってしまった。

・観た後に原作を読んで納得

原作を知らずに映画を観た段階で、奇妙に感じたことを、以下に列挙する。しかし観劇の後に原作を読んで、納得したというか、理解できた部分が多々ある。ということで、以下の内容は映画を観た私が「ナニコレ?」と思った点である。

あ、ちなみに私は公開初日の2016年4月29日に新宿の劇場に足を運んだのだが、当日でもチケットが取れたうえに、前方の席がガラ空きだったことを申し添えておこう。

・原作知らずに映画『テラフォーマーズ』を見て思ったこと

1.俳優陣がムダに豪華
2.武井咲と菊池凛子のムダ遣いがハンパない
3.俳優陣のパーソナリティが生きすぎてて、1ミリも感情移入できない
4.感情移入できないから、登場人物が全員バカに見える
5.そもそもなぜ火星に行くことになったのかが、良くわからない
6.特に主人公小町小吉(伊藤英明)と秋田奈々緒(武井咲)の接点が釈然としない
7.そのうえで、奈々緒の火星行きに小吉が付いて行くのが不自然
8.ひたすら本多博士(小栗旬)が軽薄で、役柄に重さがない
9.時々出てくる本多博士のギャグが寒くてまったく笑えない
10.緊迫した状態で、あのどうしようもないギャグを言う人がいると思えない
11.博士がジャケットを気にしすぎてる点も、イチイチイライラする
12.500年後の未来を描いているはずなのに、「傘」がまったく進歩していないのが不思議
13.そもそも冒頭のシーンで雨を降らす必要があったのか、疑問に思う
14.なぜ特殊な手術をしたのに、そのことを船員に秘密にしていたのかわからん
15.戦いが想定されるのなら、特殊な手術をしたうえで訓練すべきじゃなかったのか?
16.謎の生命体がいることを隠して、船員を火星に送り込む理由が全然わからない
17.火星着陸後に手ぶらで船外活動するとか全然意味わからん
18.謎の生命体が目の前にあらわれるまで、その存在に気づかない訳がない
19.謎の生命体の方もまた、主人公たちが目の前にくるまで気づかんものかね?
20.手ぶらで謎の生命体に遭遇しているのに、ビックリしないのも変
21.というか、あんな気持ち悪い姿をしているのに、挨拶するとか気が狂ってる
22.明らかに火星がヤバくて、何人か死んでるのに、それでも火星から離れないのはまともな判断じゃない
23.おそらく、その事情をちゃんと説明しないといけないのに、説明不十分で物語が先に進むから、見る方は完全に置き去り
24.ストーリーの前半で、かなり絶望的な展開になってしまうから、後半に何も期待できない
25.なぜ重火器を持っていないのか?
26.宇宙船「バグズ2号」は非武装だったのか?
27.仮に非武装だったとしたら、「こいつら全滅しに行ったのか?」と考えてしまう
28.謎の生命体も戦い方がヘタすぎる。圧倒的な個体数を誇るのに、なぜ1対1で戦おうとするのか?
29.船員各々の事情が後半になって明らかになるけど、その説明もまた不十分でなおかつ理不尽すぎて、リアリティがない
30.特に変だな思ってしまうのが、武藤仁(山下智久)とゴッド・リー(ケイン・コスギ)
31.この2人は日本人なのに、時々英語を話す。なんで?
32.本来は配役上、外国人キャストが必要だったんじゃないか? と考えてしまう
33.火星到着目前(39日目)で、「暇だから」という理由から小吉と仁がボクシングのマネごとをするところが突飛すぎる
34.40日の火星への旅路、ここまでの38日間は何をして過ごしてきたのか?
35.途中から戦隊ヒーローモノみたいになる
36.それなら最初から、原作の外伝的に戦隊ヒーローモノにすればよかったと思う
37.実際、昆虫の説明をする場面で「説明しよう!」みたいな感じのナレーションが入る
38.その度にオッサンは懐かしく感じる。悪くない
39.とにかく俳優陣を豪華にし過ぎて、著しくリアリティが欠如している
40.山田孝之扮する蛭間一郎はその最たるもので、貧しい家の出身なのに、全然貧しさを感じない
41.回想シーンで蛭間の貧しい家族が登場するのに、蛭間一郎だけが健康で、悲しさとか侘しさが伝わってこない
42.しかも蛭間は、大学時代に罠にハメられるのだが、そこがまた「そんな訳ないだろ!」ってなる
43.山田孝之とオッサン大学教授を天秤にかけて、山田孝之を切る女性がいるかね?
44.謎の生命体が突然飛行するところがまったくわからない
45.バグズ1号へと移動する船員たちを、飛行して追いかけなかったのは、なぜだ?
46.そもそも飛べるのら、この宇宙船が火星に着地する前に、落としにかかるべきだろう
47.大どんでん返しと思われる場面が、意外すぎない
48.奈々緒が再び登場するシーンの意味のなさ
49.あれで一発逆転がないのなら、なくていいシーンだった
50.最初に「あれ?」って思ったところが最後まで引きずって終わっていく

・原作の表現したかったことが描けてないかも

観終わったあとに、全然釈然としなかったので、すぐに書店に行き、原作漫画を購入して読んだら、「そういうことか!」というシーンが多々あった。つまり映画では描けなかったシーンや、映画オリジナルの設定が入り混じっており、原作で表現したかったことが描けていない可能性を感じた。

・作品の映像化なのかな?

「作品の映像化を試みた映画」という印象を受けた。たしかに、それぞれのキャラが昆虫に変異するシーンは迫力がある。そして、謎の生命体を駆逐していく様は圧巻だ。だが、一度見ただけでストーリーの全貌を把握するのは難しい。なぜ重火器を持っていないのか、そのあたりもキチンとした説明が欲しかったし、謎の生命体が突然飛行するところも、映画を観ただけでは良くわからない。

ということで、GW中に映画テラフォーマーズを観るという人は、原作を読んでおいた方が良いと思う。そうしないと、私のように理解し切れずに「?」を抱いているうちに映画が終わってしまうぞ。

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24