ついに! ついについに!! 2019年4月19日から映画『キングダム』が公開された。すでに鑑賞した人、これから映画館に足を運ぶ予定の人といるだろうが、ここまで期待と不安が入り混じる作品はこのところなかったのではないか。

それもそのはず、漫画の映画化は原作の評価を落とすことも決して少なくない。ファンからすると、愛する『キングダム』が酷評の嵐にさらされる姿なんて見たくないからだ。しかし、もう安心していい。ヤングジャンプ発売日の毎週木曜日が生きがいである当編集部の熱烈なファン4人全員は、映画を見て肩を落とすことにならなかった。

・ツートップが良かった

まず何が良かったか。単刀直入に言うならば、物語の主人公である信(しん)と嬴政(えいせい)のキャストだ。正直なところ、信が山崎賢人さんに決まったときは「またか」という気持ちがなかったと言えば嘘になる。売れっ子で実力派俳優──起用する理由はよく分かるが、実写化への出演が多いだけにそうなってしまった。

しかし、フタを開けてみると信は山崎賢人さん以外に適任はいなかったのではと思えるほど良かった。鬼気迫る演技、ストイックに絞り込んだ体など……下僕の頃の信を完全再現していると言っても過言ではなく、作品に込める思いとプロフェッショナル魂を感じた次第だ。

そしてツートップの一角で政を演じた吉沢亮さんも代えがきかない存在であった。信の山崎賢人さん同様、いやそれ以上に完全なる政。信の親友である漂(ひょう)、王の政と2つの役を演じる難しさはあったに違いないが、違和感を微塵も感じさせないほどハマり役だった。

ツートップが盤石なことで、当然ながら作品の安定感は上昇。「このセリフが来る」と分かるファンでも、信と政を演じる2人に引き込まれて涙腺が緩んでしまうことだろう。ちなみに2人ともイケメンなので、原作ファンの女性は歓喜しかないはずだ。

少しだけ話は逸れるが、声によって命が吹き込まれたアニメ版と比べても違和感なし。アニメだと信を森田成一さん、政を福山潤さんが演じていたが、同じ『キングダム』として作品に入り込むことができた。これは原作の面白さがあればこその結果だろう。

・端和様が最高

さて、映画に話を戻そう。女性ファン歓喜の内容がある一方で、男性ファンにもたまらないシーンが用意されている。ズバリ、長澤まさみさん演じる楊端和(ようたんわ)である。王都奪還の戦闘シーンに入ったが最期、全神経が太ももに集中するよう脳に命じられてしまう。

抜群のスタイルからスラリと伸びる美しすぎる脚は、劇中に何度「おぉっ……!」と前のめりになったことか。もはや、股に顔をうずめられるなら100回死んでもいい──フィゴ王とはウマい酒が飲めそうだ。

・原作は読んだ方がいい

ここからはマイナスポイントを少しだけ。全体を通して作品を見ると「良かった」という感想だが、当然ながら腑に落ちない部分もあった。原作を骨の髄まで味わっている身からすると、橋本環奈さんの河了貂(かりょうてん)が可愛すぎて性別を隠すどころか完全に女性だったり、尺の関係で「あっ、そうなるのね」的なシーンなどが存在したのも事実だ。

誰にでも分かりやすく作られているとはいえ、初めて『キングダム』に触れる人は予習しておいた方がいいだろう。キャラの名前など、知っているかそうでないかで楽しさが段違いだ。

・続編希望

最後にもう1つ。今から先の話をするのも何だが、叶うことなら続編を見たい。原作で人気の羌瘣(きょうかい)、桓騎(かんき)らを加えた実写はどうなるか、そして個人的には本郷奏多さん演じる成蟜(せいきょう)がいい味を出していてもっと見たくなった。

のちの成長した成蟜を考えると……必然的にそこまで見たくなる。原作ファンでもガッカリなしの実写映画、ONE OK ROCKの主題歌『Wasted Nights』も壮大でグッとくるものがあった。キングダムと原先生を “信” じて見るべし!

参照元:キングダム
Report:原田たかし
Photo:(c)原泰久 / 集英社、(c)2019映画「キングダム」製作委員会 / RocketNews24.
★こちらもどうぞ → ロケットニュース編集部員の「映画キングダムレビュー」

あひるねこのレビュー。MVPは「長澤まさみの脚」

P.K.サンジュンのレビュー。実写映画『キングダム』にどうしても集中できなかった3つの理由

和才雄一郎のレビュー。実写版『キングダム』の爽快感とガッカリ感について

▼予告編はこちら