90年代「週刊少年ジャンプ」黄金期に連載を開始し、ジャンプと思えないようなエクストリームな絵と内容で子供たちの心に傷をつけたギャグ漫画・珍遊記。この漫画が松山ケンイチ主演で実写映画化されるのは以前お伝えした通り。そして、2016年2月27日、ついにその映画が公開された。
コマのコピーやヒット作のパクリ台詞を連発するなど、マンガならではの表現を多様するのが珍遊記の面白さの1つである。実写であの面白さを伝えるなんて可能なのか……? 映画を見る前、私(中澤)は不安に襲われていた。しかし、結果から言えばこれはいらない心配だったと言わざるをえない……っていうか、実際見てみたらただの “神” 映画だった。
・どっちもジジイ
まず、懐かしささえ感じたのが冒頭のやり取り。ラインをギリアウトしているババアとジジイと玄奘3人のやり取りは珍遊記っぽい。詳細は伏せるが、原作ではイカツイ玄奘の役者が倉科カナさんなのは、この冒頭のためと言っても過言ではないだろう。しかも、ジジイの役者は田山涼成さん、ババアの役者は笹野高史さん。つまりどっちもジジイである。
・原作力
そんな珍遊記らしいノリに慣れてくると、次に気づくのが原作力の強さ。付随するギャグの表現方法が実写のモノに変わっても、話自体の面白さやバックに流れる世界観にグイグイ引っ張られる。映画が始まって冒頭の40分は息もつかせぬ展開だ。
・バトルシーンとギャグとのメリハリ
個人的な意見を言うと、そのカギとなっているのはギャグよりもバトルシーンである。ギャグマンガと言えど、珍遊記のバトルは熱く派手だった。そのバトルの熱さは実写映画でも引き継がれている……どころか、ギャグ絵の原作よりメリハリがついている気さえする。欲を言うなら、酒場でのバトルはもう少し長く描いてほしかったが……。
・後半のシュールさに見る珍遊記の世界観
そして後半になると、画太郎先生の世界観に異分子が入り始める。話が進むにつれてオリジナルキャラも多く出てきて、映画オリジナルのストーリーが展開され始める。それはそれで現代的なコントを見ているようで面白い。
特に、弁慶のような恰好をした雲海を演じる山本真由美さんがシュールで良かった。どうしても、ウンコや屁や汚い笑顔やゲスっぷりなどのぶっ飛んだ要素が注目されがちだが、後半パートがあることで珍遊記の世界観は意外と強固に作られていることがわかる。
最後の締め方も少年誌的で綺麗に締まっていた。珍遊記の映画化という点に関して考えると、原作と実写オリジナルの間でかなり絶妙なバランスを保っているように思う。なお、90分の映画の中で18発の屁がこかれた。屁の音がどうしても無理な人だけは見ない方が良いだろう。
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼コードギアス見たい……
▼珍遊記開始10分前の座席状況
▼なんだ……ただの神映画か