すべての人にとって、恋愛・お金・仕事は豊かな人生を送るうえで、とても重要。特に女性の場合、これらで問題を抱えると、「誰に相談したら良いのかわからない」というケースは多いだろう。そんな時に、女性弁護士の存在は頼りになるに違いない。
頼りになるうえ、とても美しい島田さくら先生に、実際にあった法律相談について尋ねたところ、「それってパワハラ?」というような事例を教えてくれた。話を聞くと、たしかにそれはパワハラではないような~……。
・パワハラ問題の難しさ
パワハラ相談に関しては、とても難しい問題がある。それは継続的な就業の問題だ。仮に本当に問題があってパワハラの慰謝料を別途請求するとしても、訴えた人が継続的に働く意志を持たなければ、就業については自主退職で話が終わってしまうこともある。
さらに、パワハラ問題が明るみになり、なおかつ就業を継続した場合、その職場なり部署での立場や人間関係が微妙になってしまう場合がある。結果的に訴えを起こしたことが、幸せな解決を導かない場合さえあるのだ。
・それってパワハラ?
したがって、いち早く経験豊富で労使の分野に長けた弁護士に相談すべきだ。さくら先生いわく、厚生労働省はパワハラにあたる6つの例として、
1.身体的攻撃
2.精神的攻撃
3.人間関係からの切り離し
4.過大な要求
5.過小な要求
6.個の侵害
を示しているとのこと。これがすべてではないが、労働者の人格権等を侵害するようなことが必要で、職場で嫌なことがあったからといって、なんでもかんでもパワハラになるわけじゃないのである。
なるほど。しかし、自分や職場の状況を客観的に考えないままに、感情的に相談を持ちかけても何も話が進まない。たとえば、さくら先生が教えてくれた以下の例だ。
・営業成績を壁に貼られて……
さくら「ある方のケースです。営業職のその方の職場では、営業全員の成績が壁に貼られて、プレッシャーを感じたそうです。それで、「これってパワハラですよね」って相談だったんですけど、特にみんなの前で怒鳴られたとか無能呼ばわりされたとかいう話もなく、営業職なら普通の話ですよね……」
・経費精算で「領収書を持って来い」と言われて……
さくら「別のケースです。会社の経費精算で、それまで社員は口頭で精算できたそうです。その方は、ある時経理に「領収書を持って来い」って言われたそうなんです。これがパワハラかどうか尋ねられたんですけど、本来は領収書を出さないといけないのでパワハラとは言い難い。その会社の経理がヤバいって話ですよね……」
・社長がひそかに……
さくら「さらに別の方の話です。社長がひそかにヤバい薬を売ってて、これはパワハラじゃないかって話をされたんです。しかし、社長が違法なことをやってたという話と、それが労働者との間でパワハラになるかは別の話。無理矢理買わされたとか、売るのを手伝わされたとかいう話もないので、社長が別途処罰されることがあるとしても、パワハラではないですね」
・証拠の確保が大事
さくら先生いわく、パワハラを争う場合、具体的にどんなことをされたかを証明するのがとても重要。証拠を確保するために、録音や録画をして、記録を積み重ねることが大事なのだとか。
また、日記やメモを残す際には、「パワハラをされて傷ついた! 酷い!」という抽象的な内容ではなく、「○月○日、課長に机をたたいて大声で「○○」と言われた。」というように、いつ何をされたのか具体的に書くようにしよう。
特に女性の場合、パワハラだけでなくセクハラ被害に遭遇した場合、どうして良いかわからなくなるかもしれない。いざという時のために、島田さくら先生と正木裕美先生(共にアディーレ法律事務所)が監修した『女性のためのトラブル解決 愛とお金と人生の法律相談』にさまざまなケースが紹介されているので、参考にすると良いだろう。
参考リンク:女性のためのトラブル解決 愛とお金と人生の法律相談
取材協力:アディーレ法律事務所(東京弁護士会所属)
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
▲島田さくら(しまだ・さくら)弁護士。大阪大学大学院高等司法研究科卒業。司法修習第65期。東京弁護士会所属。元カレからのDVや、妊娠が発覚した翌日にカレから別れを告げられるなど、過去のオトコ運の無さからくる、波乱万丈な人生経験をもとに、悩める女性の強い味方として男女トラブル、債務整理、労働問題などの身近な法律問題を得意分野として扱う。また、離婚等の豊富な知識を有する夫婦カウンセラー(JADP認定)、2級知的財産管理技能士の資格も有する。家庭では1児の母として子育てに奮闘している、シングルマザー弁護士。報道・情報番組「キャスト」(ABC朝日放送)にレギュラーコメンテーターとして出演中。その他、様々なメディアで活躍中。