「廃墟の聖地」、長崎県の軍艦島(端島)が、2015年7月に世界文化遺産に登録された。かつては5000人余りが暮らしていた炭鉱の島が1974年に閉山。国内最初の「高層鉄筋アパート」や「炭鉱施設」などが島に置き去りにされ、軍艦島は伝説を残したまま無人島になったのである。
現在では大人気の「廃墟の島」。2009年に上陸が解禁されて以来、累計80万人を超える観光客が訪れているという。そこで実際に、筆者も取材ではなく観光客として、軍艦島クルーズを満喫してきたので報告したい。
・ツアーに参加
軍艦島へ行くには、長崎港などから上陸ツアーに参加する必要があり、現在では5業者がツアーを行っている。ツアーへ参加するには予約が必須で、筆者が選んだ「上陸ツアー」は4000円ほどだ。いきなり長崎港に行っても、海を眺めるだけで終わってしまうから注意してほしい。
・青い海と軍艦島
長崎港を出航して40分も経つ頃、目的地の軍艦島が見えてくる。まさに「軍艦」に見える島の姿は圧巻。ゴツゴツした建物は明らかに当時のままであり、青い海とのギャップに上陸する前から言葉を失ってしまう。
・滅びの美学とはこのことか
上陸してからは、ガイドさんの解説を聞きながら220メートルの見学コースを歩いていく。このコース内でのみ写真撮影は可能で、建物が崩壊する危険があるために、廃墟の中に入ることは不可能だ。それでも視界に広がる世界は、十分すぎるほどに美しく荒れ果てていた。
だからなのか、軍艦島マスターであるガイドさんの「華やかだった頃の島の話」が、目の前の「全く生活感がない廃墟」だとはとても思えない……。『進撃の巨人』の舞台となったという話が、一番 違和感なく聞けたのだ。
・そのすべてが崩壊してしまう前に
上陸時間は1時間程度だったが、「今日ある軍艦島が明日あるとは限らない」という言葉通りの印象を受けたツアーだった。長崎市が軍艦島の維持整備に充てる基金を設立すると発表したが、現在の技術では保存をするのにも課題が多いという。ハラハラしてしまうが、この儚さも軍艦島の魅力なのだろう。
Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
▼青い海と軍艦島だ
▼似たような建物が並んでいる
▼損壊が激しい
▼ガイドさんが写真を使いながら解説
▼すべてが荒れ果てている
▼乗船時間も合わせて約3時間のツアーだった