皆さんは本当の暗闇を体験したことがあるだろうか? 幸いなことに、日常には光があふれている。夜間でも真っ暗闇に身を置くことはほとんどないはずである。たとえ電気を切ったとしても、どこかしらが明るく、街から光が消えることはないのだから。
先日、私(佐藤)は北海道・当別町の「ロイズ アイスヒルズホテル」に滞在した。氷で作られた幻想的な客室もさることながら、もうひとつ衝撃を受けたのである。それは札幌の街の明かりだ。アイスホテルは街からはるかに離れており、周囲は暗闇。そこから札幌の方角を見ると、まるで街が燃え上がっているように明るかった。
・ゴルフ場の敷地内
アイスヒルズホテルは、石狩郡当別町にある「スウェーデンヒルズゴルフ倶楽部」内にある。札幌市街地から約25キロ、車で約1時間の場所にあり、街からは遠く離れている。アイスヒルズホテルに連れて行ってくれたドライバーによると、日本海からの海風が吹きぬけてもっとも吹雪く場所だというのだ。
・向こうの空
ゴルフ場の敷地内にあるために、ホテルまでの道中は街灯さえほとんどない。小高い丘のようになっていて、遠くまで見渡すことが可能だ。夜8時にアイスホテルにたどり着いた後、アイスバーで飲んでいたときに、ふと外に出てみると向こう側の空が昼間のように明るいのが目についた。
・空が燃える
スタッフの方に「あの明るいのは何ですか?」と聞くと、「あっちは札幌ですよ」と教えてくれた。それを見て私は、自分がいる場所が深い闇のなかであることに気付き、同時に都市部の光はこれほどまでに明るいのかと衝撃を受けた。まるで空が燃えているようにさえ見えるのだ。
・星が見えますか
札幌が約200万人の都市で、これほどの明るさであれば、東京はどうなるのだろうか? この光景を見る限り、確実に宇宙まで届いている。そう実感せざるを得ないのである。
その昔、ザ・ブルーハーツが「星が見えますか~♪」と歌っていたのだが、この光の下ではかすかな星の光を見ることはできない。東京であればなおさら。闇なくして光を知ることはできない。
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24