極力お金を使わないように海外旅行をするバックパッカーが、まず入国した際に目指す場所といえば……安宿である。国によって価格はマチマチだが、1泊2ドルなんてザラにある。東南アジアならば、5ドルも出せば上等な個室に泊まれることだろう。
しかし、そんな超激安の宿で注意すべきことは、セキュリティに衛生状態……と、山ほどある。「安宿に泊まったらお金を盗まれた」なんて話もよく耳にする。だが、地味に恐ろしいのが “虫” である。通称「南京虫」ことトコジラミの存在だ。
・床にひそむ吸血鬼
床虫(とこむし)という名前も持っているトコジラミは、その名の通り「床」に潜んでいることが多いという。じっとターゲットの到着をベッドの下で待ち続け、チャンスとあらば「では……いただきます」的に、蚊のように人間の血をチューチュー吸う。
血を吸うだけだったらまだ許せるが、吸血する際にトコジラミの唾液が体内に入ってしまい、人間はアレルギー反応を起こしてメッッッッチャ かゆくなる のだ。そのかゆさは筆舌に尽くしがたいほど壮絶で、蚊なんてメじゃないレベルらしい。
よって、安宿経験値の高い旅人は、まず床を確認する。シーツの下、マットレスの裏……と、南京虫がいないかどうか入念にチェック。シーツに血が付いていたら要注意。南京虫にさされた誰かが、ボリボリかいた末に付いたシミかもしれないからだ。
・香港の安宿で南京虫に遭遇疑惑
幸いなことに、私は南京虫の被害に遭ったことはない。しかし、一度だけ「もしかして……」と思う宿に泊まったことがある。あれは今から12年ほど前、香港の「美麗都大厦(ミラドマンション)」に泊まったときのことだった。
部屋は狭く、常にジメジメ。窓もなければ換気扇すらない。それなのに宿代は意外と高く、「なんだかなぁ……」と思いながら床についた。そして翌朝……なのか昼なのかは窓がないので不明だが、とにかく目が覚めたその瞬間、異変に気づいた。
──かゆいのだ。モーレツに股間が、かゆいのだ。具体的には、私の股にぶら下がっているバックパック周辺がカユカユなのだ。これはもしや……南京虫! 長いこと旅をしてきたが、ついに遭遇してしまったか南京虫!! ……と、ベッドの下などを確認した。
しかし、それらしき虫はいない。虫がいる気配もない。さらに、ネットなどで見てきた「南京虫に刺されるとこうなる」的な写真とは、ちょっと違う。そしてもう一度、冷静になって考えた。……結局のところ、南京虫ではなく単なるインキンだったのだ。
ちなみにその後、日本から持参したキンカンを、なんとなくインキン部分に塗ってみたところ、狭い部屋の中で「ギャァーッ!」と大声で叫ぶほどに痛かった。もしもインキンになったとしても、キンカンを塗るのだけは絶対にNGだ。絶対に、だ。
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
▼こういう安宿のベッドは要注意だ