新規参入が相次ぎ、激化する格安航空(LCC)競争。安全性と一定のサービスの質を保ちつつ、極限までのコストカットは相当の企業努力が行われているのではないだろうか?
いまあるLCCが「立ち乗り席」の導入に意欲を燃やしているという。運賃は30~40%安くなるというが、その立ち乗り図のイメージ図を見てビックリ!! 板状のシートにもたれかかり、体を固定するというものなのである。
・春秋航空が「立ち乗り席」導入に意欲
この「立ち乗り席」の導入にやる気満々なのは、中国の爆安航空会社として知られる「春秋航空」だ。同社は2009年頃にも立ち乗り構想を発表。しかし、安全上の理由で許可が下りなかったという過去を持つ。だが、春秋航空は諦めていなかった! 2014年3月7日に会長の王正華(おう・しょうか)氏が再び立ち乗り構想を発表したのである!
・「立ち乗り席」とは!
その構想によるとこうだ。立ち乗りシートは床から伸びた板状のもので、背中部分に柔らかなクッション、その下には突起物がついていてお尻を支えてくれる。さらに肘掛けに、胸部にはジェットコースターのような安全バーもついているそうだ。もちろんシートベルトも完備。直立か半立ちの状態で安全を確保できるとのことである。
・立ち乗り席導入で乗客数も
この立ち乗り席は、シート面積が従来の座席の1/2になるそうで、春秋航空の新・座席クラス構想の重要なポイントらしい。その構想は以下の通り。
まずは「ビジネスエコノミークラス」。従来の12席から24席に増やし、機内食は他社のエコノミークラスより良いものを、何ならビジネスクラスに匹敵するものを提供するのだという。「エコノミークラス」は78席。そして「立ち乗り席」は約120席設置。
この構想が実現すれば、一度に乗ることができる乗客数を30%増やすことができるという。価格も30~40%安くなるというので、実現すれば会社も乗客にも朗報となる?
・専門家「設置には賛成できない」
しかし、ネックとなるのがやはり法律だ。中国では旅客機の座席や座席間の距離について厳格な規定がある。現状では、春秋航空の立ち乗り席構想は中国国内の民航法の許可を得ることはできないと見られているそうだ。
さらに、専門家である復旦大学飛行器設計研究所所長の艾剣良(あい・けんりょう)氏は立ち乗り席には賛成できないとしている。その理由はやはり安全の問題。飛行中に起こりうる様々な状況を考えると、やはり座席に座っている方が安全であるというのだ。
・安全問題はクリアしているらしい
春秋航空の王会長は「立ち乗り席の安全問題は、技術上はクリアしています。ただ管理部門や業界にとっては、これまでになかった構想なので主観的に却下されるかもしれません」と、あくまであとは認可の問題であるとしている。
・マジで!? ネットユーザーの60%が「乗ってみたい」
中国ネットユーザーからは「疲れるから嫌だ」、「本当に安全なの?」という声も上がっているが、「乗ってみたい!」、「1~2時間くらいなら大丈夫かも」と好意的な受け止め方をする声も出ている。ある調査では60%の人が「立ち乗り席に乗ってみたい」と回答したそうだ。
春秋航空は日本では茨城、高松、佐賀と中国上海を結ぶ便が、そして3月15日には上海-大阪線も就航。日本国内線も就航予定であるそうだ。いま日本で規模を拡大している春秋航空。「立ち乗り席」の実現は日本ではより難しい気もするが……もし実現したら、あなたは乗ってみたいだろうか?
▼春秋航空(Photo:Rocketnews24.)
▼「立ち乗り席」の予想図だッ! これが機内に120席……
▼ネット上では「背が低く、太った人が乗ったらこうなるのでは」と、言われている