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現在、大ヒット上映中のハリウッド映画『パシフィック・リム』。監督のギレルモ・デル・トロ氏は、この映画は日本の特撮やアニメへのオマージュ作品であることを公言しており、公開前から注目されていた。そして公開後、この映画の中国大陸版がにわかに注目されている。というのも、映画の字幕のなかにとんでもない翻訳が見つかったからである。

・「エルボーロケット」が「ペガサス流星拳」に
「エルボーロケット」は『パシフィック・リム』に登場する対怪獣ロボット「イェーガー」の必殺技名である。イェーガーは技名を叫びながら技を繰り出す。だが中国大陸版では、この大切なシーンの字幕が、「ペガサス流星拳」になっているというのだ。

・確かに「ペガサス流星拳」だった
問題のシーンを動画で確認すると、字幕には確かに中国語で「ペガサス流星拳(天馬流星拳)」と表示されていた。ペガサス流星拳は人気漫画『聖闘士星矢』に登場する必殺技で、『パシフィック・リム』とは1ミリの関係もない。このまさかの翻訳が中国では「神翻訳!」と話題になり、そのおかげかどうかはわからないが、映画の興行収入もアメリカを抜くという快挙を成し遂げたそうだ。

・ 翻訳者「日本アニメが好きな監督の作風に合うと思った」
だが、なぜ「エルボーロケット」が『パシフィック・リム』とは全く関係ない『聖闘士星矢』の技「ペガサス流星拳」になったのだろうか? その理由を翻訳を担当した賈秀談(か・しゅうたん)氏は以下のように説明している。

「ギレルモ・デル・トロ監督は日本アニメファンなので、日本のアニメから技名を借りました」

「日本のアニメに敬意を払ってのことです。原文の “Elbow Rocket” を中国語に直訳すると “肘部火箭” となります。でも、エルボーロケットはペガサス流星拳に似ています。どちらも腕に力をためて打撃を繰り返していますよね。だから私は “ペガサス流星拳” と訳しても日本アニメが好きな監督の作風に合うと思ったのです」

・ワーナー・ブラザーズにバレる → 翻訳者は干される
この「神翻訳」は中国ネットユーザー間で話題となったが、配給元のワーナー・ブラザーズの耳にも入ったようだ。賈秀談氏を起用した中国の映画会社は、ワーナーに説明を求められ、賈氏は干された状態であるそうだ。

・翻訳は正確さ重視か、雰囲気重視か
賈氏はこれまで『メイン・イン・ブラック3』や『プロメテウス』などの字幕翻訳にも携わっている。しかし、過去にも誤訳や中国の流行語の多用があったため、度々議論の的になっていたそうだ。

もちろん、誤訳はあってはならないことだ。だが、原文に忠実な訳だと文化背景の違いから観客に伝わらないこともある。その際は、直訳ではないが意味が伝わる表現に改められることがあるのも事実。どちらを採用すべきかは永遠のテーマであると言える。

「エルボーロケット」を「ペガサス流星拳」に訳したという今回の翻訳騒動、あなたはどう思うだろうか?

参照元:Youku重慶視界(中国語)
執筆:沢井メグ

▼これが問題のシーンだ、確かに「ペガサス流星拳(天馬流星拳)」と書かれている
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▼現地ニュース動画、「ペガサス流星拳」は0:33~(中国動画サイト、表示されない場合は再読み込みしてください)