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ドイツのベルリン郊外には、自転車屋の概念をくつがえす「すごい自転車屋」があるらしい。一体何がそんなにすごいのか。「直接見に行った方がいい!」という声に押され、ベルリン滞在中の記者(私)は早速その自転車屋を訪れてみた。その店を見た瞬間……ぶったまげたーー!!

壁一面に自転車がビッシリと飾られているのだ! 壁に取り付けられた自転車は、数にしてなんと250台近くにも上るという。それだけではない。超ステキな、これまたかつて見たことのないショールームまであったのだ! 自転車屋に感動する、という初めての体験を得ることになった。

・ベルリン郊外、創業12年の自転車屋「ファガードホフ」
その「すごい自転車屋」は『ファガードホフ(意味:自転車広場)』という名のお店で、ベルリンの中心から20キロあまり離れたアルトランドベルグという町にある。2001年にお店をオープンして以来、中古自転車から新品の自転車まで、様々な種類の自転車を販売している。

・中古の自転車がたまりすぎた → 同僚「壁に飾れば?」
自転車を壁に飾るようになったのは、同僚とのある些細な会話がきっかけだったそうだ。このお店では中古自転車を修理、販売しているが、2008年当時、修理しきれないほどの中古自転車がお店にたまっていたという。たまり過ぎた自転車の処理に悩んでいたオーナーに、同僚は言った。「壁に飾ればいいんじゃないですか?」

この提案がきっかけで、自転車を壁に飾り始めるようになる。5階建ての建物の壁にこつこつと飾られていった自転車の数は、250台に上る。それにしても、よくこんなに多くの自転車を、あんなに高いところまで!! 

・思わぬ宣伝効果を発揮! 自転車を見に来る訪問客が増加
この自転車を壁に飾るという試みは、思わぬ宣伝効果を生んだという。自転車を飾った壁は、クチコミやメディアの取材によって次第に有名になり、壁を見に来る訪問客が増えていったのだそうだ。

こんな効果もあった。状態のかなり悪い中古自転車を持ち込んだ客に対しては「買取はできないけど、壁に飾りましょうか?」と提案。自分の自転車が「展示物」になることに、多くの客が喜んだそうだ。

・建物に入ると、夢のようなショールームが広がっていた!!
記者が壁一面の自転車に見入っていたところ、スタッフに声をかけられた。「ショールームは見たの? え、まだ見ていない? すごいんだから、来て!」誘導されるまま、建物内部のショールームへと足を踏み入れた。すると……

かつて見たことのない自転車ショールームの世界が広がっていたのだ! 特に感動したのは子ども用自転車の展示だ。壁一面に描かれた自転車と子どもの絵。「自転車に乗って遠くに出かけたい!」見る者をそんな気持ちにさせる空間なのだ。

約3年前からスタッフが少しずつリノベーションをして、作り上げていったというショールーム。エアブラシの絵以外はスタッフ自身で作り上げたという。まさにDIYを得意とするドイツらしい!

壁に飾られた自転車、手作りのショールーム。スタッフの知恵と工夫、そして長期間にわたる継続的な努力が生んだ素晴らしい「作品」だ。人を感動させる自転車屋とは、まさにこのお店のことを言うのだろう!

参考リンク:Fahrradhof Altlandsberg(独文)
Report:佐藤 ゆき


▼壁一面びっしりと自転車!
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▼壁二面に合計約250台の自転車が飾られている
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▼壁には自転車にちなんだこんな格言も「人生は自転車をこぐようなものだ。バランスを失わないためにはこぎ続けなければならない ーアルバート・アインシュタイン」
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▼最初は2、3台の自転車のみだったのが……
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▼徐々に増えていき……
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▼今やスキマもないほどぎっしり!!
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▼片方のペダルを壁に固定するというシンプルな方法で取り付けられている
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▼建物の中はショールームになっている。夢がふくらむ!子ども用自転車のショールーム
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▼こちらも子ども用自転車ルーム
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▼マウンテンバイクコーナー
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▼お店にある最古の自転車。なんと「1939年製」だそうだ
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