現地時間11月14日、約2週間前にドッキングし結合状態で飛行を続けていた中国宇宙ステーション「天宮(てんきゅう)1号」と宇宙船「神舟(しんしゅう)8号」の分離・再ドッキングが行われ、実験は無事成功したと報道された。

「これで世界第3の宇宙ステーション所有国になれる!」と喜びに沸いている中国だが、中国の専門家は「そう喜ぶのはまだ早い」とコメントしていることがわかった。

天宮1号と神舟8号の実験が行われたのは現地時間11月14日19:27~19:53にかけてである。まず、両機は天宮1号が神舟8号を後方に押し出す形で分離、140メートルの間隔をもって飛行した後、再ドッキングを実施した。実験は全て自動制御で行われそうだ。

この実験の成功に多くの国民が「ドッキング技術は完璧。これでロシア、アメリカに次いで第3の宇宙ステーション技術を持った国になった!」と喜んでいるそうだが、その考えに専門家が待ったをかけている。

今回の実験結果を冷静に分析しているのは北京宇宙飛行管制センター副主任の麻永平(ま えいへい)氏だ。今回の実験は初期目標は達成しているがまだ完全にドッキング技術を獲得したとは言えないそうである。

麻氏や他の専門家によると、今回の実験の成果は

・分離技術の確認
・停船技術の確認
・複数回ドッキング技術及び、結合部分等の耐久性の確認
・強力な紫外線や放射線などより過酷な状況下での耐久性の確認

などだそうだ。

完全にこれらの技術をモノにしたと断言するには、まだ反復実験が必要だそうだが、今後幾度かの実験を行う上で基本となる技術である、としている。まさに「この一歩は小さな一歩だが、中国にとっては大きな飛躍である」である。今後、中国の宇宙開発に弾みをつけたと言えよう。ちなみに、先日ロシアと共同で打ちあげられた火星探査機「蛍火1号」の失敗については同日にひっそりと報じられている模様だ。

今回の実験成功を受け、内モンゴルではすでに神舟8号の着陸準備に入ったそうだ。なお、神舟8号は2日後に再分離し17日に帰還予定である。

参照元:Youku smgbb 新浪新聞(中国語)