男が抱える時限爆弾、それが髪の毛。私事で恐縮だが、記者の額の生え際は、よく言えばドラゴンボールのベジータ風、平たく言えば「M字ハゲ」の予備軍だ。生まれつきおでこが広かったので、「これはハゲているのではなく、おでこなのだ!」と自分に暗示をかけていたが、おでこの領地は日々拡大中で、そのうち天下統一されそうな勢い。
定年間近の父親は白髪交じりのフサフサだが、今は亡き母方の祖父は見事なまでの禿げ頭。それも記者に顔がよく似ており、遺伝子はモロに受け継いでいると見受けられる。よく「母方の祖父がハゲていたら禿げる」と聞いていたので、正直、禿げるのは変えようのない運命だと受け止めていた。だがしかし……だがしかし!
角川学芸出版から発売中の『発毛・育毛はコロンブスの卵』(東田雪子・著) によると、薄毛と遺伝はまったく関係ないという。
そもそも髪の毛というものは、体内の老廃物(残留成分)を体外に運び出すことと、頭部を外気温の変化や衝撃から護る役割を持っている。生き物が食べ物を摂取する限り老廃物は出続けるので、髪の毛は生涯作られることになっている。人の遺伝子の中に、「髪の毛の消滅情報」は存在しないとのことだ。
また、よく言われるのが「毛深くて男性ホルモンの塊のような男はハゲる」という説。しかし同書は、この説を全くの間違いであると一蹴。もし男性ホルモンが薄毛と関係しているのならば、男性ホルモンが最も多く分泌される思春期の若者はみんな禿げということになるが、実際は羨ましいほどにフサフサであるからだ。
では薄毛・脱毛の原因は何なのか? ホルモンバランスに食生活にストレスなど様々な原因は考えられるが、とどのつまりはシャンプー選択と洗い方、そして昨今急増している原因は頭皮下に溜まった老廃物(残留成分)であると同書は解説。特に危険なのが、皮膚に塗るステロイド剤や、様々な健康食品、そして栄養サプリメント。
口から摂取したり、また頭皮とは関係ない箇所に塗る薬でも、体に吸収されなかった物質は汗や尿や便により排せつされ、それでも処理できなかったものは頭皮下に溜まる。その残留成分が育毛の邪魔をし、さらに悪臭も放つ。これが俗に言う加齢臭だ。薬物を摂取しすぎる人から放たれる異臭も、薬物の残留成分が匂いの元である。
ほかにも様々な育毛トリビア満載の同書だが、一番スペースを割いて力説しているのが「正しい髪の洗い方」である。市販されているシャンプーが危険だというのは薄毛界では常識となっているが、かといってシャンプー無しで済ますのも危険と説く。ではどうすればいいのか?という答えは、『発毛・育毛はコロンブスの卵』(東田雪子・著) を読み、そして納得して頂きたい。ちなみにシャンプーは30秒以内が鉄則らしい。
photo:『発毛・育毛はコロンブスの卵』(東田雪子・著/角川学芸出版刊)