ソフトバンクモバイルは、昨日(2010年6月24日)、アップルの次世代スマートフォン『iPhone 4』を発売した。店頭での当日販売があるということで、3泊4日かけて並んだ人がいるほど、『iPhone 4』は発売前から大ヒットを予感させる端末だ。さて、その『iPhone 4』と同日に、別の会社からスマートフォンが発売されたのをご存じだろうか。

KDDIは2010年6月24日、個人向けとしてはau初のスマートフォン『IS02』を発売した。同日、auショップ池袋東口店で開催された発売セレモニーでは、KDDI代表取締役執行役員専務 田中孝司氏、KDDIコンシューマ事業本部 サービス・プロダクト企画本部 オープンプラットフォーム部長 重野卓氏が登場するなど、スマートフォン市場に掛ける同社の並々ならぬ意欲がうかがえる。

同社としては、『iPhone 4』とあえて同じ日に発売することで話題性を出したかったようだが、『iPhone 4』の圧倒的な人気に、逆に話題とならなかったようだ。

『IS02』は、OSに『Windows Mobile 6.5.3』を採用した、『Windows phone』だ。写真やウェブも鮮やかに表示できる4.1インチ有機ELディスプレイの大画面でタッチ入力に対応し、世界最薄QWERTYキースライドモデルとなっている。機能的な面から見れば、『iPhone 4』の対抗機種として申し分がないスペックだ。なぜ、『IS02』は、あまりメディアにとりあげられなかったのだろう。やはりプロモーションの差が出たと言わざるを得ない。

アップルは、もともとプロモーションがうまい。『iPhone 4』は発売前からネット上で話題となっていた。一部メディアで発売前の端末が露出される事故も起こったが、逆に話題となり、認知度が高まった。『iPhone 4』に比べると、IS02はネット上で話題になっていただろうか。確かに内覧会はあったが、ネット上で大きな話題とはならなかった。

2005年の『Newsweek』誌(日本版)「世界で最も尊敬される日本人100」にも掲載されているヨシダソースの創業者 吉田潤喜氏が語った成功術のひとつに「目立ってナンボ!」という言葉がある。どんなに良い商品であっても、知られていなければ、自己満足に過ぎないのだ。吉田氏は、ヨシダソースがメジャーでなかった頃、認知度を高めるために、自ら派手な格好とパフォーマンスで話題性を高めた。KDDIは、発売前のプロモーションの段階で負けていたと言っても過言ではないだろう。

他社に目を向けると、NTTドコモは、Andoridを搭載したスマートフォン『Xperia』をすでに発売している。こちらはアントニオ猪木が登場するカウントダウインイベントや、テレビコマーシャルなどのプロモーション展開をしており、『iPhone 4』とは違うユーザーの獲得に成功している。秋には、サムスン電子の「Galaxy S」ベースとしてスマートフォンの発売を表明しており、さらなる攻勢をかける構えだ。

パソコンユーザーだけでなく、ケータイユーザーも取り込もうというスマートフォン。スマートフォン市場で勝者になるのは、果たしてどこだろうか。

Photo by Rocket News24 Staff / 本誌記者撮影