古き良き日本の佇まいを今に伝える古民家。最近は『古民家カフェ』として再利用される住宅も少なくない。しかし、多くはリフォーム対象と見られ、取り壊されている。古民家には統一的な評価基準が決まっていないため、文化価値を数値化して証明できない。そして工務店やリフォーム業者は、取り壊し建て直すことが仕事である。当然取り壊しを勧める。この壊して建てる流れに歯止めをかけ、古民家の価値を大切にするのが、古民家鑑定士である。

この資格は昨年2月、財団法人職業技能振興会が制度化したもの。古民家鑑定士は、古い民家の保存・活用・再利用を目的として、建築的かつ環境保全の立場から、適切なアドバイスを行う。鑑定士は、約200項目で家屋の状態を診断し、文化的価値や建物の耐久性を元にして家屋の価値を評価する。鑑定項目は以下のようなものだ。

・床下に30cm以上の空きはあるか
・白蟻による食害はあるか
・柱の下に土台はあるか
・大黒柱はあるか
・天井の木目は美しいか
・建物と隣接する道路の間に、4m以上の空きはあるか

などである。鑑定の結果、その古民家の鑑定書を発行する。

古民家鑑定士に関しての窓口を行っている、NPO200年住宅再生ネットワーク機構の広報担当の方にお話を伺ったところ、現在全国に530名の古民家鑑定士の方がいるとのことだ。年内に2,000名の古民家鑑定士の育成を目指しているとのこと。今年の試験は4期に分けて、全国で行われている。20歳以上であれば受験資格は必要ないとのことだ。古民家や古材に興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。好きを仕事に出来るチャンスかも。

■参考リンク
古民家鑑定公式サイト