【検証】「いつか伊勢海老を食べてみたい」という後輩に “野生のザリガニ” をご馳走したらこうなった(2ページ目)
釣ってきたザリガニをそのまま中澤に食べさせる……わけはもちろんなく、今回は美味しくいただくための工夫をいくつか施した。まずは “泥抜き” である。池の水を水道水と入れ替えて丸1日置き、その間も水が濁って来たらこまめに交換する。これで泥臭さはかなりなくなるハズだ。
次に調理する直前には日本酒をふりかけ、追加の泥臭さ対策を行った。調べたところ、アメリカザリガニはかなり生命力が強いため、海外では丸1日酒漬けにする店もあるらしい。さらにさらに、編集部内で唯一「野生のザリガニを食べた経験」を持つGO羽鳥も調理に立ち会ったので、味対策も万が一の寄生虫対策も万全だ。
GO羽鳥によればザリガニは本来、サッと火を通した方がプリプリ食感も楽しめてウマいという。だがそれは養殖されたザリガニの話。今回は安全を喫して「10分間ボイル」で調理することにした。果たして中澤は喜んでくれるのだろうか?
そしていよいよ調理開始! 少々胸は痛んだが「ありがたくいただきますので!」と心の中で念じ、熱湯の中にザリガニを放り込む。みるみるうちに真っ赤になっていくアメリカザリガニ……これぞマッカチンや。あとは10分待つだけだ。
茹であがったアメリカザリガニは完全にエビ──。伊勢海老とは大きさこそ違うものの、普通にウマそうな茹でエビではないか。これは中澤の狂喜乱舞待ったなしである!
──セイジくん、セイジくん。実はセイジくんのためにザリガニを調理したんだ。
「え? あのベランダにいたヤツですか?」
──ほら、伊勢海老食べたいってしょっちゅう言ってるじゃない? 代わりと言っては何だけど、ザリガニをご馳走するよ。
「イヤですよ。僕は伊勢海老が食べたいんです」
──似たようなもんだよ? せっかく捕まえて来たんだから食べてよ。今までゲンゴロウとか普通に食ってるじゃん?
「あれはプロが調理してるでしょ? 素人の調理とか危険過ぎません?」
──いや、調理師免許持ってて、なおかつザリガニを食べたことがあるGO羽鳥も立ち会ってるから絶対に大丈夫。
「いや、そもそも羽鳥さんが調理師免許持ってるって誰が見たんですか? だいたい……」
──いいから食えよ。
まさか中澤が拒むとは予想していなかったが、口にすればきっと感激するハズ。だって元々が食用よ? 中国では大人気食材よ? フランスでは高級料理店でも出てくるのよ? まずい理由が見当たらない。
それでもなかなか手を付けたがらない中澤のため、私はザリガニの殻を優しく剥いてあげた。すると……小ッさい身が出てきた。それでも形は紛れもなくエビ。そしてようやく中澤がザリガニを口に運んだ……!
──どう? 味はどうなのセイジくん?
「味……しないッス。でもプリプリはしてます。うーん、あと奥の方に若干の泥臭さはありますよね。でもザリガニって言われなければエビだと思っちゃうかも……ウマくはないけど」
なんと食わせ甲斐のない男だろう? もっと喜べや! よほどマイナスイメージがあるのか、ザリガニでは中澤の伊勢海老欲を満たすことは出来なかった……。
なお、余ったザリガニを数名で試食した結果「めっちゃ美味しい!」「エビ!」「普通にウマいよ」……などと大好評だったことは記述しておきたい。私も食べてみたが余裕でエビであった。伊勢海老ではなかったけど。
というわけで、中澤を喜ばせることには失敗してしまったが、野生のアメリカザリガニは普通に食えるし、何ならウマいと判明した今回の検証。興味がある人は、まずザリガニ釣りに出かけてみてはいかがだろうか? 久々のザリガニ釣りは信じられないくらい楽しいぞ。
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼動画はこちらから。超テンションが低い中澤に注目だ。
▼絶対にウマいと予想されたザリガニの味噌汁は、3匹だと少々ダシが足りなかった。
▼余すことなくいただきました。ザリガニさん、ありがとう。
▼食べるかどうかは別にして、久々のザリガニ釣りは超楽しいぞ!