上海オタクビル探索のさなか、気になる看板を目にした。

美萌女仆珈琲店。「仆人」とは中国語で使用人のこと、つまりは美しく萌えるメイドカフェ。見つけたからには素通りも出来ず、期待と不安に胸をときめかせながら薄暗い階段を上り、お店を覗いてみると……アキバにあっても全く違和感のない、まごうことなき小綺麗なメイドカフェだった。

明るい店内には8つ程のテーブルがあり、備え付けのボードゲームも遊べるが、そんなことは正直どうでもよい。私の興味はただひとつ。メイドだ。ところが……。常駐のメイドは一人きり。スタイルはモデル級だが愛想は今ひとつ。

笑顔のない淡々とした接客を受けつつ 写真でも……とカメラを出すと「撮影禁止」の看板が目に入り、壁のポスターを撮るに留めた。欲求不満のモヤモヤを抱えながら翌日、上海から遙か300キロ離れた義烏市に移動。生暖かい町を歩き疲れて何気に飛び込んだ喫茶店がまたもや、メイド喫茶だった!

こちらのお店。昨日の上海とは打って変わって落ち着きまくった昭和の純喫茶風。メイドも皆さんしっとり系薄幸の未亡人風とでも言いましょうか。笑顔も素敵である。さて……。

アイスコーヒー
──ありません。
じゃ、マンゴースムージー
──それもありません。

みたいな、ちょっと信じられないやりとりの後、ようやく許可の出たヨーグルトドリンクをオーダー。

ところがである。10分、20分……。待てど暮らせど来やしない。そして遂に、誇張なしの30分が経過。裏で乳絞りでもしてんのか! と、喉の乾きも忘れた頃、ようやく甘ったるいヨーグルトが登場。すすってみれば、上は冷たく、下は常温。三口頂いて会計をお願いしました。
(取材・文=クーロン黒沢

▼上海中心部の煤けたオタクビル二階に気になる看板が!

▼こ、これはもしや……。メ、メメメ、メイ──

▼メイドカフェや! でも店内撮影禁止……

▼上海から300キロの雑貨卸売タウン「義烏市」の一角にも──

▼おお、メイドや! 中華メイドや!

▼配膳は死ぬ程遅いが、しっとり系のメイドさんがいい味出してました