遠い伝承によれば、かつて日本にはレバ刺しというものがあったそうな。大層美味ながら、その危険性が問題視された品であると聞く──。


前年の集団食中毒事件を受け、食品衛生法により牛レバーの生食が制限されたのが2012年。当時小学6年生だった筆者は当然のごとくレバ刺しを食べたことのないまま今に至り、ゆえにその存在は筆者にとって ほぼ「悪魔の実」「仙豆」「バタービール」ぐらい現実離れしたものだった。


しかしながらレバ刺しを惜しむ声は止むことなく、あの手この手でレバ刺しに近づこうとする試みは多数。レバ刺し風のメニューを提供する店や、合法的にレバ刺しを食べられる店や国、そして、レバ刺し風の再現レシピ。


本物はいろんな意味でハードルが高いけど、再現レシピなら筆者にもできるかもしれない。ホンモノを知らない筆者に、淡いレバ刺し色の夢を見せてくれるかもしれない──。


てなわけで、巷に溢れる「レバ刺し風」の簡単レシピを片っ端から試してみることにしたぞ!

・大体「ゴマ油と塩」

今回試してみるのは「水切り豆腐」「アボカド」「ごま豆腐」。味付けはいずれもゴマ油と塩である。それもう「ゴマ油と塩」がレバ刺しの味なんじゃないか? ……というのは置いておいて。


それプラス、このタイミングで偶然スーパーで「レバ刺し風こんにゃく」なるものを見かけたのでそちらも加え、合計4種を試してみることにした。ちなみにこの商品のみ専用のタレが付属していたが、それにも「ごま油風味」とあったので、まあそういうことである。


・レバ刺し風こんにゃく

手始めに こんにゃく。正式名称は「レバ刺し好きも絶賛のこんにゃく」である。なかなかに大きく出ている。


裏面の指示通り軽く水洗い。見た目だけで言うとだいぶレバーめいている。


付属のタレをかけて、いただきます。


こんにゃく……だな……。


これはこれとしてまあ面白いのだが、レバ刺しっぽいかと言われると完全に こんにゃく。本家を食べたことがない筆者でも迷わず言える、これはレバ刺しではない。そのまんま、ゴマ油風味のタレをかけたこんにゃくである。


さらに言ってしまえば付属のタレに関しても、美味しいっちゃ美味しいものの こんにゃくのツルンとした食感と一緒になるとどうしても脂っこさが際立ってしまい、ミスマッチが否めない。わさび醤油とか酢味噌とかで刺身こんにゃくとして食べた方が美味しいと思う。



・水切り豆腐

お次は水切り豆腐ですね。まず用意したるは絹豆腐。



これを各自お好きな方法で水切りしていただく。筆者はキッチンペーパーに包み重しを載せるというトラディショナルな方法で2時間ほど放置。


なんかイイ感じのサイズに切り分けて、


ゴマ油と塩をまぶす。



あ、イイ!


これもまあ言ってしまえば豆腐ではあるのだが、思ったほど豆腐豆腐してるわけでもない。ということはかなりレバ刺しなのかもしれない。いや本家食べたことないんだけど。


んで、単純に美味しい。水切りしたことによる滑らかな舌触りと豆腐本来の淡白さにゴマ油のマッタリした風味が上手くマッチしており、濃厚リッチな味わいを実現している。


合う、水切り豆腐とゴマ油。いっぱい食べたい。そしてカロリーもお値段も低めなので、やろうと思えばいっぱい食べられる。糖質制限ダイエットとかにいいかもしれない。


・アボカド


続いてはアボカド。これはもう切るだけでいいので楽なもんである。


良い感じにスライスして塩をふり、ゴマ油をかける。



おいしいかも……?


なんか正直味がよくわからない。多分アボカドにゴマ油と塩をかけた味がしている。というかそもそもアボカドがマッタリしているので、その舌触りに影響されて味がつかみにくくなってるのかも。


でもまあ間違いないというか、不味くなるわけがない組み合わせではある。ごま油を多めにつけると香ばしくて美味しかったです。


・ごま豆腐

さて、ラストはごま豆腐。


これもいい感じにスライスして塩をパラパラ、ゴマ油をピャッ。



あ、おいしいかも。


でもゴマ油とごまなので、正直なところどれが何の味なのか分からん。無難に美味しい。でもやっぱちょっと味がぼやけるというか、アボカド同様ごま豆腐そのものの食感も相まって全体的にモッタリしている感じがある。悪かないんだけど、ごま豆腐は素直に付属の味噌だれで食べるほうが好きかもな。



・優勝:豆腐

いや、でもなんか ぼんやりとしたレバ刺しの輪郭はだいぶ掴めてきた気がする。要するに「ゴマ油と塩味のネットリ濃厚なもの」がレバ刺しの重要な構成要素なのだろう。ホンモノで答え合わせができないのが無念だが、まあそれは致し方なし。これらの代替レシピで満足するとしよう。


で、その中でいうとやはり「水切り豆腐+ゴマ油と塩」の美味しさは頭一つ抜けていた。ヘルシーだし安いし美味しいし、皆様もお試しいただきたい。

水切りだけちょっと面倒くさいんだけどね。でもその価値はある味なのでぜひ。


執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.